4月6日(火):TELハラ?
会社に電話が鳴って新入社員に電話取れと命じたらハラスメントになるらしい。それをTELハラとかいうそうだ。なんでもハラスメントにしてしまうのは問題であるが、新入社員の立場も少しは分かる。
昨年、おそらく今年もそうなるだろうけれど、コロナ禍の自粛のために研修が十分にできていないのである。そういう声はいくつか聞いたことがある。実地教育ができないわけだ。リモートの弊害というか限界がハッキリすると思う。リモートでは実地研修ができないのだ。
しかしながら、新入社員の方々にも言いたいのだけれど、社員教育は今後ますます疎かになっていくと思われる。企業もそこまで手が回らないという状況がいずれ来るかもしれないのだ。
それだけでなく、リモートワークが増えると、他の社員たち、先輩たちがどういうふうにしているかを見る機会がますます減るのだ。同僚や先輩のやっていることを見て、あれはいいなと思うことは取り入れたらいいのであるが、その機会が激減してしまうように思う。学ぶ機会が減るように思うのだ。
従って、新入社員たちは自発的に学んで行かなければならないことになる。教えてもらうなんてことは期待できないし、人から技術を盗むということも期待できないと思っておくくらいでいいと思う。ネットを活用しようと、書籍その他を活用しようと、あるいはマナー講座なんかを活用しようと、手段は構わないのだけれど、自ら学んでいく姿勢がますます求められると思う。
世の中は今後とも厳しくなっていくと、そう心得ておく方がいいだろうと僕は思っている。いざ厳しい場面に遭遇して慌てふためくよりも、厳しい場面を想定して普段から心がけておく方がよっぽどいいと僕は思っている。
昨年と今年は社員研修が不十分であるとして、それがいつか取り戻せるなんて思わない方がいい。研修は新しく入った人のために催されるので、過去に入社した人のことまで手が回らない可能性がある。だから今、学んでおく方がいい。
僕の若いころ、たいへんな就職難があった。優秀な学生でも就職できなかった時代だった。そもそもの最初から今年は社員を採用しませんと言ってくる企業もけっこうあった。その時代に、正社員になれないならと契約社員で就職した人たちがいる。僕の知人の中にもそういう人たちがいるんだ。彼らはいずれ正社員になれると信じて契約社員に甘んじていたのだけれど、結果、どうなったか。彼らのほとんどは契約社員のままだったのだ。
彼ら以後の人たちは正社員で入社してきたのだ。会社に悪意がないとすれば、契約社員のことまで手が回らなかったのだろう。そういうことも起きるのだ。
今年は社員研修が十分にできませんでした、それなら来年やりましょうというふうにはならないかもしれないのだ。来年は来年で新しい人が来るとすれば、研修はその人たちのためになされることになる。今年や昨年の人のためにはできないかもしれないのだ。
若い社員さんたちへ、教えてもらってないから分からないというその言い分も頷ける。しかし、いつか教えてもらえるなどと期待しない方がいいと僕は思うのだ。教えてもらえないとすれば、自分から学んでいくしかなくなるのである。ところで、このことはある意味ではチャンスでもある。同期の人とそういうところで差がつけられるからである。
ハラスメントなどと騒がずに、どんなふうに電話対応したらいいのか、いろいろ学んで実践していって、困った場面があれば、こういう時はどうすればいいのかを上司なり先輩なりに相談して、自分のキャパシティーを広げていってほしいと僕は思うのだ。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)