3月23日:竹林公園

3月23日(火):竹林公園

 

 今日は定休日である。高槻に行ってサイト作業することも予定の一つに入ってはいた。しかし、休日は運動不足を解消する目的もある。両方をこなせればいいのだけれど、どちらか一つを選択しなければならないかもしれない。

 僕は運動不足の方を優先した。家から歩き始めて、洛西の方面に向かう。調子がよければ墓参りを済ませておきたかった。もっとも、それは今日でなければならないという必然性があるわけではないけれど、早めに済ませておくと後が楽だという理由に過ぎない。

 歩き始めは足が不調であったが、歩いているうちに気にならなくなる。途中からは普通に歩行できるようになった。

 天気は良く、歩いていると少し汗ばむくらいだった。気候は申し分ない。歩くには快適だ。それに洛西方面を歩くというのはいい選択肢だ。歩きやすいし、密になることもない。下手に繁華街や行楽地のあるところに行くよりはるかに安全だ。

 洛西に竹林公園というのがある。けっこう有名であるらしい。僕も名前は知っているものの入ったことはなかった。いい機会だ、行ってみよう。看板や道標に従って行く。始めていく所であり、何の下調べもしていないがどうにか行くことができた。最悪、辿り着けなくても日を改めたらいいだけのことなので、気にしない。交差点から南へ15分から20分くらいで南出入り口に到着。

 そこは出入口が北と南と二か所ある。僕は南口から入った。徒歩の場合だと南口から行くのが便利だ。車の場合だと北口から入った方がよさそうだ。

 南口の門から入る。坂道が続く。「ヘビ注意」の看板が目に入る。ああ、やつらがおるのか。まあ、ヘビと遭遇してもヘビの方から逃げて行ってくれるので怖くはないか。

 坂道を登りきると資料館が出てくる。公園にはこの資料館を通って入らなければならない。恐る恐る入ってみる。係の人が出てきて記帳を求める。どこから来たかという大体の住所と人数を記入するだけだった。

 公園は大して広くない。20分もあれば一周回ることができる。他に散策している人もいない。そういえば、僕と入れ違いに出て行った人があったか。資料館から石段を下りると池があり、石造りの橋がかかっている。歴史のある橋であるらしい。

 橋を渡り、石段を上る。円周コースになっている。そのコースから外れてさらに登ると小さな石仏群がある。ここも有名であるそうだ。ここもグルリと一回りできるようになっている。石段を下り、周遊コースに戻る。

 そこから歩きやすい歩道と、竹林を縫って通っている石の道がある。石の方を選ぶ。道が尽きる辺りに広場がある。中央にソメイヨシノが一本立っている。これから咲いていくのか、それとも散り始めているのか、どっちか分からないけれど、まあまあ咲いていて、桜を見ながらベンチで一服。タバコの一本も喫いたいところだけれど、園内は禁煙だということだ。ルールは守ろう。水分補給だけする。そういえば、飲食も厳禁とあったような。まあ、ペットボトルの水を一口飲む、この程度のことは大目に見てもらおう。

 うっかりするとスルーしてしまいそうになるのだけれど、この広場の周囲をぐるりと取り巻くように竹が植えてある。それもさまざまな種類の竹が植えてある。一周してみる。僕にはどれもこれも違いがあまり分からないのだけれど、竹といってもこれだけの種類があるのはビックリだ。中にはこれから生えると思われるものもあり、一体それがどんな姿かたちの竹なのか見てみたいとも思った。

 最後に、資料館に戻り、そこのテラスから園内の全体を見渡す。確かにきれいな庭園だ。しばらく見て過ごす。その後、資料館に入る。そこには竹に関するウンチクを始め、竹で作られた工芸品なんかも展示されている。見ていると、それはそれで面白い。

 最後に竹製品を見ておく。いろんなものが全部竹で作られている。買うわけでもないのに、あれこれ手に取って見る。竹製のおろし器はちょっとテンションが上がった。こんなのよく作るなと感心してしまう。

 資料館を後にする。今度は北口に向かう。広い駐車場がある。それに出入り口から資料館までの距離は北からの方が短いし、傾斜もなだらかであるようだ。

 北出入り口の前に道路が走っている。一瞬どっちだっけと思った。右に行けばいいのか左に行けばいいのか。方向音痴はこれだから困る。フィーリングで左を選ぶ。洛西の方に戻りたかった。もし反対方向に進んだとしても向日市に出るだけのことだ。どっちにしても街中に出れば何らかの手段で帰ることができるだろう。

 左に進んで正解だった。ずっと林道のような道を下っていく。やがて国道が見えてくる。国道まで出ると、今度はどちらに向かうかで再度考える。来た道を戻るのであれば左。駅の方に向かうなら右。いったん、コンビニまで戻る。そこの喫煙場所で一服しながら考える。結果、来た道を帰ろうということにした。駅に向かってそこから高槻へ出てもよいが、いい加減疲れてもいた。

 あとは来た道を延々と引き返していく。なかなか順調に歩いてはいるけれど、少し座って休みたい。国道沿いのパチンコ屋に入り、店内のベンチに座ってしばし休息。険しい顔してパチンコ台に向き合っている人のなんと多いことか。足元にパチンコ玉が一個コロコロと転がってきた。これはどこから来たのだろう、持ち主に返してあげないといけないのかななどと思う。だって、彼ら必死なんだろう。玉の一個も無駄にできないんじゃないかって思う。僕がいるので取りに来づらいのかな。そう思い、ベンチを立ち、店を出る。再び歩きだ。

 ずっと歩く。ふと、思い出した。ある場所で国道から鳥居が見えるのだ。建物の裏にあって、ちらりと見えるのだ。あれは何神社なのだろうと疑問に思っていたのだった。いい機会だ、立ち寄ってやれ。小さな神社だった。鳥居があり、石段を少しばかり上がると祠がある。一応、来たついでと言ってはなんだけど、拝んでおく。

 この神社の裏の方はどうなってるのだろうか。行ってみるが何もない。ウロウロしていると不審者と思われそうなので、国道まで引返す。

 だいぶん家まで近づいた。コンビニに寄って何か買おうかと思う。さすがに腹が減ったのだ。この時点で午後の3時は過ぎていた。昼ご飯を食べ損ねているので何か食べたいと思っていた。が、結局、何も買わずに店を後にして、真っすぐ帰宅する。

 

 帰宅してから、すぐ昼食だ。

 その後、以前からやろうやろうとしてできなかったことをやった。映画『ドクトルジバゴ』を一気に鑑賞した。3時間20分もある超大作だ。いい映画だと思うのだけれど、一度も通して観たことがなかった。何回かに分割して見なければならなかったのだ。それを今日、オープニングからエンドまでぶっ通しで見ることができた。やっぱりいい映画だ。

 この映画、オマー・シャリフでもアレック・ギネスでもない。何といってもクラウス・キンスキーだ。それとあと、ロッド・スタイガーもいい。いつかキネマ館で取り上げよう。

 

 今日はほとんどそれだけだ。朝から午後まで歩いて、午後から夜まで映画を観て、それだけで一日がほとんど終了した感じだ。それでも無意味でもなかったし、無駄でもなかった。何かをやれば必ず何か得るところのものがあるものである。

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

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