#014-08>ギャンブル問題への条件(4) 

 

(四つ目の条件) 

 次に挙げる条件は、GA等の自助グループへ参加するということです。従って、条件は 

 

「週に一回のカウンセリングを3年間続けること、そのための計画準備を当人すること。同時にGAにも参加すること」 

 

というものになります。 

 

(参加の態度) 

この条件は、カウンセリングと平行してGAなどの自助グループに参加するということです。私はこれをギャンブル問題を抱えるすべての人に言っています。カウンセリングと自助グループとの二本柱でやっていかなければならないと私は考えています。こういう問題カウンセリング一本やっていかない方がいいと思うのです。 

カウンセリングで自分の体験に開かれていくこと、GA等のグループで他者の体験に開かれていくこと、これがこの二本柱であると私は考えています。 

人によってはGAの参加を頑なに拒むことがあります。その人がGAに参加するかどうかは、本人とGAとの間の事柄だからカウンセラーは関係ないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。頑なに拒む人の中にはこの理屈を持ち出してくることもあります。 

しかし、そうではないのです。その人のGAに対する態度は、カウンセリングに対する態度の反映であり、カウンセリングにも影響するのです。 

分かりやすく言い換えるなら、カウンセリングには参加するけど、GAには参加しないという在り方はないのです。それをする人は、実はどちらも不参加なのです。GAには参加しない、カウンセリングには参加しているように見せかけているといったところが実情に近いのではないかと私には思えることがあります。 

あくまでも私の経験の範囲を超えないことではありますが、GAに参加しないクライアントは、カウンセリングにも実は参加していないのです。その場に一定時間留まっているだけといった、時間潰しの感覚に近いものがあるように思われるのです。そして、この不参加の姿勢、時間潰しの行為というのは、取りも直さず、ギャンブルの構図の一環であると私は考えています 

そうなると、結局、カウンセリング自体が無効になってしまい、彼らの不利益、正確に言えば、周囲の人の経済的支援がこうして蕩尽されることになりかねないのです。もちろん、私のところが損失を蒙るわけではないけれど、やはり、周囲の人たちにそういう不利益が発生している状況で、私にはそれが見えていて、それでも私だけ儲けようという気持ちにはなれないのです。それなら初めからお断りする方が誠実であると私は考えています。 

 

(態度には一貫性がある) 

 実際のクライアントは、先にGAに参加して、後からカウンセリングの必要性を感じる人もあれば、先にカウンセリングを受けてからGAも参加してみようという気持ちになる人もあります。いずれにしても、その人のカウンセリングに対する態度とGAに対する態度は共通するのです。 

 一方を拒む人は他方も拒むのです。拒む理由は人それぞれです。ある人は「GAに通っても失敗した人がいるのだから、役に立たない」と言って拒み、別の人は「GAに参加する時間がない」と言って拒むのです。でも、そんな理由なんてどうでもいいことなのです。 

個人の態度にはある程度の一貫性があるものなので、こうした拒絶はカウンセリングとGA以外の場面でもその人に見られるものなのです。改善したいのはその部分なのです。 

 ある男性は、親に説得されてしぶしぶカウンセリングを受けに来ました。彼はカウンセリングなんて受けたくないと言います。同じようにGAにも参加したくないと言います。その彼は他の人間関係の場に入ることもありませんでした。彼の職業は株のトレードでした。朝からパソコンに向かって、株の売買をするのです。市場が閉まれば、そのままパチンコを打ちに行くという毎日でした。彼はあらゆる人間関係を回避しているように見えるのです。親しい友人もいないし、交際している女性もないといった感じでした。 

 カウンセリングのような場面を拒否したがること、GAに参加しないこと、人と会わないような仕事を選ぶこと、親しい友人や恋人がいないこと、これらはみな彼の一貫した傾向なのであります。 

 ギャンブル問題(あるいはその他の問題であっても)においては、人間関係にその人が入っていけるということがとても重要なサインになるのです。後に事例で示すように、それが回復の最初のサインとなることもあるのです。 

 

(人間関係の改善) 

 パチンコであれ、競馬であれ、ギャンブルというものは孤立した行為であるように私には感じられるのです。基本的に人との交流がなくても成立する行為であると考えています。 

 上述のトレーダーの男性のように、ひどく孤立している人もあれば、限られた少数の人との付き合いしかないという人も少なくないように思います。 

 さらに、後々述べていく予定でおりますが、彼らは会社などでも孤立していたり、家族の中でも影が薄いといった傾向があるように思います。 

 人間関係の改善はギャンブル依存に不可欠なのです。カウンセリングは一対一の関係を、GA等のグループでは一対他の関係を形成する場面となるので、私は両方を経験することが望ましいと考えています。GA以外のグループ、例えばサークルなどでも結構だとは思いますが、共通の目標を持ち、体験を共有できる人たちのグループの方が、少なくとも最初の段階では、望ましいのではないだろうかと、私はそのように考えています。 

 

(条件のまとめ) 

 以上が、私が提示したい条件であります。 

 

 週に一回のカウンセリングを三年続けるつもりで始めること。 

 そのために必要な予算と計画を立て、本人が負担すること。 

 GAなどの自助グループにも参加すること。 

  

上記の条件をよくお考えになられた上でお決めになられて結構であります。 

 

(文責:寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

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