<#015-19>S氏3回目面接 

 

 2回目の面接から2週間後、S氏との3回目面接が行われました。予約時間にきちんと来談したS氏は、幾分緊張をはらんだ様相でありました。前回までと同様、面接の模様を逐語的に記述します。Tは私の、SはS氏の発言であります。 

 

 (1)T:その後、いかがですか。 

 (2)S:ええ、まあ、なんとかやっています。 

 (3)T:特に何事もなくといった感じでしょうか。 

 (4)S:いえ、それが(口ごもる)。問題が起きた場面を記録しておいでほしいって先生は言ってたので、今日はそれを持ってきたんです。一日だけ、ちょっと、妻ともめた場面がありましたので。大したことではないんですけど(S氏はカバンからメモを取り出す)。 

 

(注) 

 実際の場面では、S氏がメモを読み上げ、私がそれを筆記します。それから私が筆記したものを一つ一つ読み上げ、S氏がそれぞれ確認します。その際に、私から見て抜け落ちていると思われるところは質問します。時に、S氏の方で思い出したことなどがあれば、それを追加して筆記します。こうして問題が発生した場面を出来る限り正確に再現していく過程があります。ここでは煩雑な記述を避けるため、以上の過程を省略しています。 

 

 S氏の問題発生場面は以下のようでありました。ここでは細部を省略しています。 

 ①夜、S氏が居間にてくつろいでいる。 

 ②いきなり大きな音が鳴ってドアが開く。 

 ③S氏が驚いて見ると、妻がものすごい権幕で入ってきた。 

 ④妻は無言で冷蔵庫の方へ行き、飲み物を取り出して、そのまま無言のまま出ていこうとする。 

 ⑤S氏は妻に手をかけて、「お前、今、ドアを蹴っただろう」と問い詰める。 

 ⑥妻はそれに答えず、S氏の手を払いのけて出ていこうとする。 

 ⑦S氏はさらに「俺が訊いてるんや、答えろ」と詰め寄る。 

 ⑧妻はさらにS氏を無視しようとする。 

 ⑨S氏、さらに「待て!」と妻を遮る。 

 ⑩妻、「ほら、あなたはそうやって怒る。放っておいてよ」と言って、居間から出ていく。 

 ⑪S氏、それ以上は追及しなかった。 

 

 (5)T:こういうやりとりがあったんですね。一つ一つ順を追って訊いてみたいのですが、よろしいでしょうか(S氏:どうぞ)。まず、これはいつの出来事でしょうか。 

 (6)S:前回のカウンセリングの日でした。夜のことで、これから寝ようかといった時間帯のことでした。 

 (7)T:ああ、そうなんですね。前回のカウンセリングの日だったんですね。 

 (8)S:そうです。カウンセリングを終えて、帰宅して、夕食をとって、それで居間でくつろいでいたところだったんです。 

 (9)T:奥さんは何をしていたんですか。 

 (10)S:妻は自分の部屋で仕事をしていました。忙しい時とか、早退した時には仕事を家に持ち帰って、自分の部屋で仕事をすることがよくある。 

 (11)T:奥さんは確かお店を開いていたのでしたね。 

 (12)S:ええ、インテリア雑貨なんかを扱う店をやっています。 

 (13)T:その日は奥さんは自室で仕事をしていたということですね。Sさんが帰宅した時にはすでに仕事をしていたということですか。 

 (14)S:そうです。僕が帰宅した時には妻は自室に籠っていましたね。夕食が作ってあったので、それを食べて、その後、くつろいでいました。妻が自室にいるということは物音とかで分かってましたし、仕事の邪魔をするのも悪いと思うので、こちらからは何も声をかけたりとかしませんでした。 

 (15)T:そうなんですね。Sさんの方からは何も声をかけたりとかはしないのですね。 

 (16)S:妻が部屋で仕事をしている時はいつもそうです。よほどの用事でないと声をかけないですね。妻が仕事をしていることはこちらも承知しているので。 

 (17)T:Sさんはその日は妻が自室で仕事をするということが前もって分かっていたということなのですか。 

 (18)S:ええ、そうなんです。居間のカレンダーにお互いの予定を書いてますので。家を出る時間、帰宅時間を僕も妻もお互いに記入することになってまして。妻の帰宅時間が早い日は在宅で仕事をするのが通例だったものですから、今日は帰宅が早いなとなれば、きっと自室で仕事をするんだろうなと予期してました。 

 (19)T:なるほど、そういうことをしているんですね。カレンダーにお互いの帰宅時間などを書いておくという。それはSさんのアイデアなんですか。 

 (20)S:いえ、妻が言いだしたことです。僕が何時に家を出るのか分かっていないと妻も準備があるから困るなどと言うので。それに、僕の帰宅時間が分かっていないと子供のことでも不具合があるからなどと言うものですから。それで僕の方も、僕も時間を記入するから妻も同じようにしてくれと頼んだのですね。 

 (21)T:妻はSさんにそうするよう頼んで、それならと、Sさんの方も妻にそうするように頼んだということなんですね。Sさん側の理由はなんでしょう。 

 (22)S:いえ、僕の方は特にその必要性も感じてなかったんですけど、なんとなく、僕だけ記入するのは不公平だという気持になったもので。それに、子供が一人になる時間を避けたいという妻の言い分を実現するなら、お互いの時間を記入した方がいいだろうと思ったので。例えば、僕が妻よりも先に帰宅して、子供を見ている時でも、妻の帰宅時間が分かっている方が都合がいいと言いますか、やりやすい気がしますので。 

 (23)T:なるほど、子供のことを考えるとお互いの時間が分かっている方が便利だからということなんですね。 

 (24)S:そうです。 

 (25)T:では、その日は妻の帰宅時間が早いので、Sさんが帰宅して妻が出てこなかったとしても、Sさんとしては妻が自室で仕事をしてるだろうなと予測できていたということなんですね。 

 (26)S:ええ、その日の朝の時点でそうなってるだろうなと予期していました。でも、これって、そんなに大事なことなんですか。 

 (27)T:はい、大事なんです。ものすごく大事なんです。 

 (28)S:(笑って)本当ですか。 

 (29)T:本当です。どの人もそうなんですが、問題が起きた場面は詳しく教えてくれるのに、その人がどういう状態であったか、つまり心の状態という意味なんですけど、そこまで教えてくれないんですね。問題が発生した時、Sさんがどういう心的状態であったかを明確にしておきたいと思うんです。 

 (30)S:なるほど、そういう意味なんですね。僕が帰宅して、妻が自室にこもっていても、僕にはそれが分かっていましたので、特に何とも思わなかったですね。ああ、部屋で仕事をしているんだな、くらいにしか思わなかったです。 

 (31)T:そういう感じだったんですね。それで、Sさんが居間でくつろいでいると、突然、大きな音がして、妻が入ってきたのですね。 

 (32)S:そうです。ドンって音が鳴って、ビックリしたんですよ。見ると、妻がすごい険しい顔をして入ってきまして、そのままツカツカと冷蔵庫の方へ行ったんですよ。冷蔵庫から飲み物を取り出して、そのまま部屋に戻ろうとしたんです。 

 (33)T:その間、Sさんは奥さんの行動を見ていたということでしょうか。 

 (34)S:見ていたといいますか、どういうつもりなんだろうかという感じで。 

 (35)T:どんな気持だったんでしょうね。 

 (36)S:最初は物音にびっくりして体が強張った感じがあって、それで妻の方で何か言うかなという思いもあったように思います。 

 (37)T:びっくりしますよね。体も硬直するでしょうね。すぐには行動が生まれなかったかもしれませんね。それに、妻の方から何か言うかと待機するような感じでもあったということですね。 

 (38)S:そんな感じがします。 

 (39)T:それからSさんは奥さんにドアを蹴ったなと詰め寄ったんですね(S:ええ)。これは実際、奥さんがドアを蹴ったということなんでしょうか。 

 (40)S:そうなんです。妻は時々そういうことをするんです。ドアを足で蹴って開けるんです。両手がふさがっているわけでもないのに。そういうのが僕はイヤなんです。 

 (41)T:イヤというのは。 

 (42)S:怒って、ドアを蹴るとかいうのが。そういう行動といいますか、怒りに任せてやるって感じの行為がイヤなんです。それに、怒っていようといまいと、ドアを蹴るっていうのがどうも許せないというのか。 

 (43)T:Sさんはそういう行為が許せない気がするんですね。それでは、この時、妻はSさんにとって、もっとも許せない行為をやったということになるのでしょうか。 

 (44)S:まあ、言ってみればそうですね。 

 (45)T:それだけにSさんの方でもカッとくるかもしれませんね。 

 (46)S:実際、イラっときましたね。 

 (47)T:それで、今、ドアを蹴ったなと妻に迫ったわけですね。Sさんとしては妻がドアを蹴って開けたことが分かっていたにも関わらず。 

 (48)S:まあ、そうですね。いきなり「ドアを蹴るな」と言ってもよかったのかもしれませんけど、なんて言いますか、妻がドアを蹴る瞬間を実際には見てはいないから。 

 (49)T:なるほど、音からして妻がドアを蹴ったということは明白なんだけれど、その場面を現実に目撃したわけではないから、そうと決めつけるわけにはいかないんですね。それで、ドアを蹴ったかどうかということを確認する感じになるんですね。 

 (50)S:そうです。僕としてはそのつもりで問いかけようとしたつもりなんですが、多分、イラっとしていたので、怒って問い詰めた感じになったかもしれません。 

 (51)T:その時にはちょっと感情が入り込んでいたかもしれませんね。それで妻はSさんの問いを無視して、Sさんの手を払いのけて、そのまま行こうとしたので、Sさんは問いに答えろという感じでもう一度問いかけるんですね。 

 (52)S:そうですね。妻が僕の手を払いのけた時に、さらにカッとなったもので。 

 (53)T:そこでSさんも引けなかったんですね。つまり、妻が無視して出ていこうとするのを、それ以上、止めなくてもよかったかもしれないんだけれど、そうすることもできない感じになったのかな。 

 (54)S:そう言えばそうなんです。妻が無視するなら放っておいてもいいのかもしれなかったんですけれど、なんて言いますか、もう後には引けないというか。 

 (55)T:妻が答えるまでは引き下がることができないような気持というか。 

 (56)S:そうですね。何と言いますか、なんとしてでも僕の問いには答えてもらうというか、それくらい強い気持ちになっていたように思います。 

 (57)T:それでも妻は答えず、出ていこうとするんですね。Sさんは三度目の声をかけていますね。「待て!」と。 

 (58)S:そうです。本当に「待て!」と言って、ほとんど怒鳴る感じで言ってしまいました。 

 (59)T:きっと、だんだんと声の調子も強くなっていったんでしょうね。そうして奥さんの方が、「あなたはそうやってすぐ怒る」などと言って、出ていったんですね。 

 (60)S:そうです。もう、なんて言いますか、妻にメチャクチャ腹が立ってきたけれど、その時には妻と関わろうという気持ちが失せるというのか。 

 (61)T:きっと、混乱した気持になられたのでしょう。 

 (62)S:そうですね、なんだか訳が分からなくなるような気持ちです。 

 (63)T:そうでしょうね。混乱して、訳が分からなくなって、妻には腹が立っているけれど、ある意味では妻のことがどうでもいいような気持にもなって、そのままその場面が終わったという感じなんですね。でも、Sさんの中では不愉快なモヤモヤしたような気持が残ったでしょうね。 

 (64)S:そうですよ。次の日までけっこう引きずっていたような気がします。それで、問題が起きた場面のことはよく覚えているようにっていう先生の言葉を思い出して、ああ、これがそうなんだと思って、記録にしたためておいたんです。でも、こんなんでいいんですか。 

 (65)T:こんなんで、っていうのは。 

 (66)S:つまり、この程度の内容のことでも良かったのかなって。 

 (67)T:この問題場面は、妻とのやり取りもほとんど無いし、短いものであるけれど、とても重要な内容を含んでいると私は思います(S:本当ですか)。ええ。Sさんは三度、妻に声をかけていますね。ドアを蹴ったなと言った時、質問に答えろと言った時、待てと言った時の三度ですね。三度とも同じ感情であったかどうかは分からないですね。怒りの感情があったとしても、何に対しての怒りであったのか、それぞれ違いがあるかもしれませんね。 

 (68)S:そうですね。そういうふうに考えたことはなかった。カッとなったことは確かだけれど、それぞれの発言に感情的な違いがあるとは思ってもいなかった。 

 (69)T:そういうものだと思います。最初は妻がドアを蹴ったことで怒っていたかもしれません。でも、次は妻が質問に答えなかったことに対する怒りであるかもしれません。最後は妻が無視し続けることに対する怒りであったかもしれませんね。いずれにしても、最初の怒り、つまり奥さんがドアを蹴ったということは、どこか背景に退いていってるように私には思えるんです。そうなると、Sさんの方としては、自分が何に対して怒りを感じているのかが見えなくなっているかもしれないとも思うのです。 

 (70)S:確かにそうですね。訳が分からない感じになっていましたので。 

 (71)T:その後は、どうなったのですか。 

 (72)S:妻が放っておいてくれというのだから放っておくことにしました。その後、僕は寝ましたね。 

 (73)T:よく寝れましたね。感情が高ぶっていたでしょうに。 

 (74)S:そうなんですけど、翌日も仕事があるので、寝ておかないと。それに、僕の日課といいますか、それもあるので。 

 (75)T:日課? 

 (76)S:ええ、規則正しい生活を送ることを自分に課しているんです。仕事が不規則になりがちなので、それでどうしても生活が不規則になってしまう。生活が不規則になると仕事もいい仕事ができなくなりそうな感じがするので、できるだけ規則正しい生活を送るようにしているんです。寝る時間も起きる時間も、食事の時間も、出来る限り守って生活しているんです。朝の出勤が遅い日でも、遅くまで寝ていないで、いつもと同じ時間に起き、明日が休日でも夜更かししないで、いつもと同じ時間に寝て、そういうことを自分に課してやっているんです。 

 (77)T:すごいですね。では、その日も就眠時間が来たので、なんていますか、無理してでも寝たということになるんでしょうか。 

 (78)S:(笑って)まあ、そうですね。できるだけ速やかに自分の日常に戻ろうとは意図していましたけど、そんな無理して寝たというわけでもないんですよ。 

 (79)T:それで翌朝もいつもと同じ時間に起床して。 

 (80)S:そうですよ。無理して起きたとかいうわけでもないんですよ。眠れなかったというわけでもないし。 

 (81)T:奥さんはあの後はどうしたんでしょうね。 

 (82)S:さあ、どうなったんでしょうね。特にこちらから何も訊かなかったし、きっと、妻もあの後、もうしばらく仕事をして、それから寝たんでしょう。僕が起床した時、妻はまだ寝ているようでしたから。 

 (83)T:Sさんにとって、奥さんのことはあまり気にならない、ということでしょうか。 

 (84)S:妻のことが気にならないわけではないけれど、いちいち気にしてられないという気持もありますね。妻は生活が不規則で、就眠起床も早かったり遅かったりしてるんですね。朝、いつものように起きてこなくても、遅くまで寝ていても、特に心配にはならないですね。妻にはよくあることなので。 

 (85)T:そうなんですね。・・・えーと(考える) 

 (86)S:どうかしたんですか。 

 (87)T:ええ。今、ふと思いついたと言いますか、引っかかったと言いますか、何か頭の中に浮かんだのだけれど、それが何だったか(笑) 

 (88)S:もう(笑)。 

 (89)T:いやいや、ごめんなさい。思い出したらお伝えしますね(笑) 

 (90)S:頼みますよ(笑) 

 (91)T:まあ、それはさておいて、この場面のことに関して、その後、つまり今日までという意味ですが、この場面のことで奥さんと何か話し合ったりとか、話題に上がったりとかしましたか。 

 (92)S:特にそういうことはないですね。僕の方でもそれを蒸し返すつもりはないですし、妻の方でも触れたくないと思っているんじゃないかな。 

 (93)T:お互いにそこに触れない感じなんですね。 

 (94)S:ええ。でも、ギクシャクしてる感じとかはないんですよ。今まで通りに過ごしている感じです。 

 (95)T:今回のこの場面では、Sさんは怒りに駆られてはいたけれど、奥さんに手を上げるということはなかったのですね。 

 (96)S:妻はDVだDVだって騒ぐんですけど、実際は妻に手を上げるということはそれほど多くないんです。今回は暴力を振るわなかったって思われるかもしれませんが、そうではなくて、僕の中ではいつもと同じ感じなんです。 

 (97)T:ああ、そうなんですね。今回もいつもと同じように、Sさんはアタマに来てるけれど、暴力行為は振るわなかったということなんですね。 

 (98)S:妻はどう考えるか分からないけど、殴るとか叩くとか、そういう、誰が見ても暴力と呼べるような行為はしないんです。 

 (99)T:それじゃあ、こういうことになるんですか。基本的にSさんは妻に対して暴力は振るわないけれど、暴力を振るってしまうときもあるっていうことになるのでしょうか。 

 (100)S:ええ。でも、そういうのは本当にたまにといいますか、それほど多くないんですよ。 

 (101)T:ええ、分かりますよ。だから、Sさんが妻に手を上げるってことは、Sさんにとって相当なことが起きているんですね。 

 (102)S:そう思っていただけるなら。現実には、訳が分からないうちに手を上げてるっていう感じに近いような気がします。 

 (103)T:やはり混乱するんでしょうね 

 (104)S:それで暴力を振るったということで、僕だけが、なんか、責められるというか、非難されるというか。 

 (105)T:不公平な感じですよね。 

 (106)S:そうなんですよ。僕の方だって暴力を振るいたいわけではないんですよ。怒りに身を任せたのは確かだけれど、もっと訳の分からない感じの方が強いんですよ。 

 (107)T:その辺りのことも私なりに分かる気がしています。それではSさん、時間も終了に近づいてきたので、今日はここまでとしたいと思います。今日は具体的な場面を持ってきてくれたので私の方でもいろいろ分かる点もあり、考える点も見えてきた感じがしています。この一場面だけで判断するのは控えなければならないんですが、もし、問題発生場面になんらかのパターンと言いますか、法則といいますか、そういうものが見えてくるとよりはっきりと言えるんですが、今回の場面で見る限り、Sさんは奥さんの感情に巻き込まれていることになると思います。 

 (108)S:え、そうなんですか。妻は逆のことを言うんですよ。 

 (109)T:奥さんの側からするとそう見えるかもしれません。でも、それは奥さんの方の問題であって、Sさんがどうこうできるものではないかもしれません。お互いに巻き込み合うようなところがあるのでしょう。発端がどこかによって自分が巻き込まれたという体験につながるものだと思います。少なくとも、今日、Sさんが持ってきてくれた場面に関しては、Sさんの方が妻の感情に巻き込まれているという感じがします。 

 (110)S:そうなのかな。 

 (111)T:まあ、あまり信じられないという気持もあるかもしれませんね。先ほども言いましたが、この一場面だけで決定できるものではなく、いくつもの場面を見ていくことが必要であります。現時点では、Sさんの方が妻の感情に巻き込まれていると私は考えています。なぜ、巻き込まれてしまうのか、巻き込まれないために何ができるのか、今後も検討していけたらと思います。 

 (112)S:それはぜひ。 

 (113)T:それでは今日は時間となりましたので、ここまでにしましょう。 

 

(文責:寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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