11月26日(月):偽りの治癒
先日お見えになられたクライアントが、何とかして僕を喜ばせようとする。僕を喜ばせようとすると言うのは、つまり、僕が喜びそうな事柄を話そうとされるということである。僕は見ていて、痛々しいほど、彼がそれに努めているのが分かる。
カウンセリングをしていくと、確かにクライアントが「良く」なっていくのが分かることも多々経験する。一方で、それが「偽り」であることが分かることもある。いわば「偽りの治癒」ということだ。
先ごろ終結されたある女性クライアントは、最後の面接の際、自分がこれだけ良くなりましたということを、ことさら主張されました。彼女は以前よりも外に出るようになったし、いろんな趣味や活動が増えたと言う。一時期の塞ぎこんだ彼女から比べると、それは確かに前進であり、望ましいことである。
(中絶)
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)