4月14日:僕の失錯行為 

4月14日(土)僕の失錯行為 

 

 このブログを書いていて、「おや?」と思った。それは4月10日の日付分で、僕は「断酒14か月達成」と書いていたのだ。これは「15か月目達成」の間違いであるということに、僕は今日になって気づいた。実際は、4月10日で断酒が丸15カ月続いて、今は16か月目に入っているのである。 

 もちろん、ブログの内容的には何も変わらない。「14か月」と書いてある箇所は「15か月」に、「15か月」と書いてある箇所は「16か月」に書きなおせば何も問題はない。まあ、もう面倒なのでそれはしないつもりだ。それに、僕の間違いはそのまま残しておこうと思う。 

 でも、問題はなぜ15か月のところを14か月と書いてしまったのかということだ。 

 ある意味では、断酒の期間に拘らなくなっていることの証拠でもある。今が15か月目だろうが16か月目だろうが、もうそうことに拘泥しなくなっているからである。僕はいつの間にか、期間を数えることなく断酒をしている、そうしている自分に改めて気づいた。 

 それと、この失錯行為は、本来「15」の所を「14」と書いている、つまり「15」に進まずに、「14」に留まってしまっているわけだ。この「14」という数字に何かあるだろうかと僕は僕自身を振り返ってみる。 

 不思議に聞こえるかもしれないけれど、「14」という数字を頭の中で繰り返しているうちに、中学2年生時代のことがふと思い出されたのだ。なぜかと言うと、当時の僕の出席番号が14番だったからだ。14歳の時に14番だったわけだ。中2の時の出席番号なんて、今の今まで思い出すこともなかったのに、不思議にもそれが出てきたのだ。それも4月の14日に思い出しているわけだ。 

 中2の時に、番号が13番だったT君がいた。僕は「て」で名前が始まるけれど、彼は「た」で始まる。この13番の彼とは中学卒業後、変な縁があって、再会することになる。 

 再会したのは、20代半ば頃だ。中学を卒業して約10年後のことだ。ある時、僕は近所のバーに呑みに行った。その時、カウンターの端の方で一人静かに飲んでいる人がいた。影の薄い感じの人だった。僕はあまり注意して見なかった。でも、彼の方が僕のことを知っていると言ってきたのだ。僕は初め彼に見覚えがなかった。彼が名前を名乗って、初めて彼が中2の時の13番の彼だったということを思い出したのだ。僕は彼の変わり様に驚いた。 

 当時、彼はすっかりアル中になっていた。毎日酒浸りの日々を送っていた。こんな言い方は悪いとは思うが、僕は彼がすっかり人間が変わってしまい、荒んでしまったという印象を受けた。その後も彼とは何回か会い、一緒に呑んだりもした。 

 やがて、彼とは会わなくなってくる。彼は、アル中に特徴的かもしれないが、職を転々として非常に不安定だったのだ。そして、今度決まった仕事の関係で、僕たちの行きつけの店にも顔を出さなくなってくる。それと同時に、これは噂で聞いたのだが、彼がアル中治療に取り組み始めたということを僕は知った。 

断酒に関しては、彼の方が先輩である。僕はその後も、およそ10年以上飲酒を続けてきた。当時、T君のことを冷ややかに見ていた僕自身が、T君とさして変わらない事情に至っている。 

僕の今回の失錯行為は、T君を思い出せということなのかもしれないな。彼と僕との間に、そんなに違いはないのだ。 

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー 

 

 

 

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