6月17日:アルバイト開始

6月17日(金):アルバイト開始

 

 週に二回ほどアルバイトをしようと今月から動いている。

 昨年からの仕事の激減と未知の世界に飛び込んでみたいという、二つの欲求を同時に満たそうとする試みである。

 工場、製造の仕事は経験したことがないので、一度やってみたいと思った。一応、採用はされているが、いつ解雇されるやら危なかしいところである。

 今日、工場内に入るのは二日目である。まだ実際の作業に入ったわけではないけれど、すでに先が思いやられる思いがしている。

 一つを意識すると他が抜け落ちるとか、そんなことの繰り返しである。上手くいかないことの方が圧倒的に多い。

 緊張感も半端じゃない。けっこうカチコチになって動いている。不自然さが普通じゃない感じだ。

 初めてのことなんだからそういうことも覚悟していたつもりだったけれど、現実に体験すると自分の見立てがいかに甘かったかを痛感する。

 とにかくやっていかなければ。

 

 覚えることが多いのである。まず、工場内のルール、その他の規則などをしっかり内面化していこう。そういうところに意識が割かれることのないようにしよう。そして仕事に注意が集中できる状態になっていこうと思う。

 そして、一つ一つの言葉をしっかり覚えていこう。その業種特有の専門語なんかもあるわけで、そういう言葉も覚えていこう。

 実際に工場に入ってみると、いろいろ課題が見えてきた。足の心配を僕はしていたのだけれど、それ以上に目だ。細かな作業をすることもあり、照明が暗い場所での作業もある。目がよく見えないのだ。視力回復の何かをやっていこう。

 体力的な問題はなさそうである。それほど体を動かす場面は少ない。腕力やその他の筋力も特に鍛える必要はなさそうである。もっとも、健康のために鍛えるというのであれば別であるが。

 日常では用いることのない工具を上手く使いこなせるようになりたいとは思うのだけれど、これはどうやって練習すればよいか、まだ明確ではない。

 実際の工程作業に入ると、一人で黙々と作業するような感じになるので、人間関係の問題とかは起きなさそうである。それでも、周囲の人とは気持ちよくやっていきたいとは思っている。

 とにかく、何事も上達していきたいと今は思っている。

 

 とはいえ、さすがに今日は疲れた。昨夜はあまり寝られなかった。妙に緊張してしまい寝付けなかったのだ。そのため、今日は頭がボケていた。こんなことではイカンと反省する次第である。

 夕方に帰宅して、すぐに横になる。けっこうぐっすりと熟睡してしもうた。あまり意識はしていなかったのだけれど、寝不足だけでなく、精神的な疲労も大きかったのかもしれない。

 とにもかくにも、生きていかなければならない。生まれてきた以上は死ぬまで生を営まなければならない。生きるということはそんな生易しいものじゃない。それだけは肝に銘じておこう。

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

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