5月4日:なんとなく幸せな 

5月4日(木):なんとなく幸せな 

 

 今日も高槻はジャズストリートだ。行きつけのあのお店は今日は営業するのかな。まあ、一応、顔だけ出して、手伝うことがあれば手伝うか、くらいの軽い気持ちで高槻まで出てきた。 

 朝から職場入りして、午前中はサイト関係の作業をこなす。午後から外に出る。 

 早くも人通りがある。城北通りは人が多い。それもそのはずだ。ジャズストのメインストリートだから。 

 行きつけの店に行く。ありゃ、開いてない。と言うことは昨日で「折れた」のか、と思いつつも、しばらくその辺りをうろついて、後で戻ってみることにした。城北通りで生ビールを飲んでしまった。昼呑みもたまには気持ちいい。喫煙所で一服してから、行きつけの店に向かうことにした。 

 その喫煙所で、JTの人が加熱式タバコの販売キャンペーンをやっている。喫煙に来た人に声をかける。僕のところには来ずだ。避けるなら勝手に避けてくれ。その後、というのは二度目に入った時だが、も同じように避けられているが、男性スタッフが「スタッフが声をかけましたか?」と訊いてきた。僕は結構ですといって辞退した。無視するのなら最後まで無視してくれたらいいのに。 

 さて、そんなことがあって行きつけの店に行くと、今度は開いていた。ビールや喫煙OKのポスターを彼は作ってきた。彼も分かったようだ。今回はなんの準備もせずに臨んだということを。そして、準備をしていないということがどれだけマイナスになってしまうかも理解したようだ。 

 

 このジャズストは、演奏会場の周辺だけしか盛り上がらない。限られたテリトリーだけのイベントである。その限られたテリトリー内にあっても、2階、3階のお店はその恩恵がほとんど無いとも聞いたことがある。一体、誰が得するのかね。 

 彼の店も同じ感じだ。昨日は常連さんが来たけれど、今日はどうなることやら。 

 コロナ以前によく顔を合わせた人がたまたま前を通りかかって、僕を認めて入ってきてくれた。彼にはお連れさんがいたので一緒に飲むというわけにはいかなかったが、僕は最初、彼が誰なのか分からなかった、その人のことは覚えているのだけれど、僕の記憶の中にあるその人と目の前にいるその人とがなかなか一致しなかった。言われると、確かに同じ人だということは分かる。つまり、僕の記憶力の悪さだけでなく、彼の方でも以前と変わったのだ。それもいい方に変わっている。病んでいる感じの無い彼は彼ではないとさえも僕は思ったよ。 

 

 午後、コンビニからのラインに目を通した。店の中でビール飲みながら返信しておいた。昨日はまったくケータイを開かずといった感じだった。今日も危うくそうなりそうな勢いだった。ラインとかメールとか、本当に私生活の領域に割り込んでくるから腹立たしいものである。 

 

 夕方ころからボチボチと常連さんが現れ始める。大体そんなものだ。あちこちのお店が開いているとしても、大半はそのお店の常連さんなのだ。いつも来るお客さんが、この両日は昼間からやってくるというに過ぎない。 

 

 さて、常連のおばさま二人から演奏を聞きに行こうと誘われた。城跡公園の方の会場だ。僕は誘われるままについていった。城跡公園の手前の辺り、以前は工事をしていたのを覚えているけれど、あんな施設ができていたのだ。僕は初めて知った。 

 その施設内で演奏があるらしいのだけれど、すでに行列ができていた。並ぶのが面倒だということで、僕たちはそのまま引き返した。 

 おばさま二人と一緒に歩いていて、ふと、こういう人付き合いもいつまでできるだろうか、などという観念が浮かんできた。まあ、こういう観念が浮かんでくるのは、その時が楽しかったことの証拠でもあるのだけれど。 

 

 再び店に入る。夜になっている。店員さんも休憩が必要だろう。僕と一人のおばさまがカウンターに入る。と言っても、狭いカウンターで、おばさま一人が動くと、僕の方は隅っこに追いやられてしまうといった有様だ。二人同時には動けない。 

 途中、職場に荷物を取りに戻った。帰ってくると、お客さんが増えている。四人組のお客さん(と言っても、そのうちのよく喋る男性一人)のお相手を僕はした。おばさまは飲み物を作るので忙しそうだ。手伝おうにも、僕が動かない方がよほど手伝いになるくらいだ。それくら狭いカウンターなのだ。 

 

 それにしても、今日は昼間から飲んで、夜まで飲んだ。それだけでなく、たくさんの人とも言葉を交わした。そっちの方が大切だ。楽しいひと時を過ごさせてもらった。店員のMは来年もやるつもりでいるらしい。来年はきちんとスタッフを雇ってくれと僕は言い残しておいた。 

 Mは医大生である。来年は高槻祭りにも参戦しようかなどと言っている。若い人の挑戦をお手伝いしたい気持ちもあるけれど、僕はあまり役に立ちそうもない。客で訪れる方が僕の性に合っている。 

 なんか幸せな気分だ。なんとなく幸福感が内にあふれている。たまにはそういう楽しい一日を過ごしても罪にはならんだろう。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

 

 

 

 

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