4月1日:キネマ館~『デスハント』

4月1日(金):キネマ館~『デスハント』

 

 再びブロンソンものだ。チャールズ・ブロンソンだ。本作ではリー・マーヴィンと共演だ。

 舞台は大自然広がるカナダ。アラスカに近いのだろう。猟をして生計を立てる山男たちが住んでいる町が舞台だ。闘犬で傷ついた犬をブロンソンが買い取り、ケアをしてやるのだが、その犬の飼い主がイチャモンをつけにくる。発端はそんな些細なものであるのだけれど、やがてエスカレートしていき、殺人にまで発展する。

 事件となった以上、出動せざるを得ない。警察であるリー・マーヴィンがブロンソンを訪れ、連行を要請する。が、話がまとまらないうちに一人が発砲し、全面抗争となってしまう。

 なかなか激しい戦闘シーンが展開される。マーヴィンを初め、町の猟師たちがブロンソンめがけて発砲する。ブロンソンも命がけで戦う。その夜、小屋を破壊されて、ブロンソンは逃げる身になる。

 逃げるブロンソンに追うマーヴィンであるが、マーヴィンはブロンソンを逮捕したくないのである。自分と同じものを感じ取るからである。ブロンソンもこの地を離れたくないのである。

 その頃、町ではブロンソンに懸賞金がかかり、大勢の狩人がブロンソン狩りに加わる。軍隊のセスナまで駆使する。追手が増える中で窮地に追い込まれるブロンソン。幾度も危機に見舞われながら、命からがら逃げ延びていく。

 

 生きるためにひたすら逃げるブロンソンの姿もいいが、本作のもう一つの見所は、カナダの雄大な自然の風景だ。自然の雪景色だ。この自然の中で、自然と一体となったように生きている男をブロンソンが演じているのだけれど、違和感なくそう見えてしまうのが不思議だ。

 この大自然人ブロンソンだけど、彼は決して攻撃しないのだ。攻撃されたので防衛しているのである。自分を守るためにひたすら戦うのだ。そして、自分の生まれ育った自然から離れるのを嫌うのである。そのためにひたすら逃亡する。それはそのまま生きるための逃亡である。そう、最後まで生き延びようとする生への意志の強烈さがブロンソンから迸っている感じがするのである。

 マーヴィンの方は、現代という時代にいささかついていけなくなった世代の人間である。ブロンソンに親近感を覚えるのはそういうところであるかもしれない。同じ世代、同じ価値観の人間という感じがお互いにするのではないかと思う。

 ともかく熟練の二人がとてもいい

 

 僕の唯我独断的評価は4つ星だ。あまり期待していなかっただけに期待以上の良さを感じてしまったかもしれない。

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

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