1月6日(日):驚くべき人たち
暴力は嫌いだ。映画でも暴力シーンを見るのが辛くなっている。アクションはまだいいのだけれど、暴力的なシーンは辟易している。
クライアントから暴力の話を伺うこともある。やはり辛い。
年末も男性が女性に暴言を吐き、ベシベシとしばいている場面に遭遇した。行きつけの店でのことだ。あまりに目に余るので、僕は止めに入った。
僕の自慢の一つは、41年間生きてきて、一度も女性を叩いたことがないということだ。女性から叩かれたことはあっても、僕の方から叩くということはない。これはけっこう僕の中では誇るべき事柄だと思っていた。
ところが、ここに驚くべき人たちがいるのを知った。これは地元での話だ。僕は一度も女性を叩いたことがないということを話したのだ。すると、これを聞いた二人の男性は「そんなんアカン」と言うではないか。それで僕は「それなら女性は叩いた方がいいのかね」と尋ねてみた。すると彼らは当然だという顔をした。
彼らの言い分を聞くと、女性を叩いたことがないなんてことを豪語すると、女性にナメられるというのだ。だから、そんなことは口にしない方がいいと言うのだ。価値観の違いというのだろうか、僕はナメられるなら喜んでナメられるつもりなのだが。
しかし、虫の好かん二人組だったな。女性にナメられないためには女性を叩くことも必要だと考えるのは、それは彼らの男性としての魅力の問題じゃないのかねと、僕は思うのだ。あるいはそういう女性としか縁がなかったのかね、と言いたくもなるな。
彼らは、もし彼女が他に男を作ったらどうする、それでも殴らないかと、僕を挑発してきた。僕は女性友達との件を話して、それならきっぱり別れる、別れるけれど殴らないと答えた。実際にそうしたのだから、事実に基づいた話だ。第一、恋人が余所に男を作ったというのなら、こちらにも何か恋人をそこへ走らせてしまうようなことをしているのかもしれないし、殴ったとしても恋人が帰ってきてくれるわけでもないではないか。殴って何になるというのだろう。
男が女を殴って、それが自然だとか当然とか捉えている人たちは、僕から見ると、実に驚くべき人たちだ。それで実際に、現実問題として、女性といい関係が築けただろうか。見た限り、男やもめの二人だったようだけど。
相手に敵意を示して、それで相手が愛してくれるなどと期待するとしたら、それは大間違いだ。それはその人の中で何か混乱があるのだろう。
まあそれにしても、下らない人たちと関わったものだ。もう彼らと会うこともない。僕の方から願い下げだ。実に不快な人たちだったな。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)