7月10日:『袋小路』

7月10日(木):『袋小路』

(パソコン)
 ここ数日、パソコンの具合が悪い。やたらと「重たい」のだ。
 容量を見ると、けっこうな量だ。空き領域が50GBを下回ると、しんどいのかなと思い、先日からデータの処理をしている。
 僕はパソコンにCDを取り込んでいる。いつでも物を書きながら音楽を聴けるようにと思ってだ。そのCDも250枚くらい入っている。それは容量を使うはずだ。それを全消去した。
 文章はそれほど容量を食うわけではないけれど、数が多いとそれなりに容量を食う。このサイト掲載分、未掲載の分、さらには旧サイトやマイベストプロ時代の原稿なんかも残してある。個人的に書いた文章もあれば、文章修業と称して小説を書いたり写したりしたものもけっこうある。読んだ本についての感想や覚書、専門分野に関する文章、あるいはいろんなところから引き抜いた文章の束もある。これもいつか整理しようと思う。
 デジタル化として取り込んだ文書や記事、レジメ、講義録などもけっこうある。何百枚とある。これもそろそろ外部に保存しておく必要があるな。

(本と映画)
 専門分野のものを除いて、7月に入ってから2冊読んだ。
 一冊は、ピカート著『われわれ自身の中のヒトラー』という本だ。これは素晴らしい。第二次大戦前後のドイツの人と状況に対しての本だ。社会批判であり、人間に関する本だ。でも、ここで述べられている状況は、21世紀の日本にこそよく当てはまるように感じた。いつか詳述したいと思っている。
 もう一冊は、角田喜久雄著『影丸極道帖』という時代小説だ。現時点ではあと20ページほど残っているけど、今日中に読み終えるだろう。これも面白い。わざわざこの本一冊のために難波まで買いに行った甲斐があった。

 映画は、「袋小路」という作品を見た。火曜日だったかな。自宅の整理をしていたら、昔録画したビデオテープを発見して、思わず見てしまったのだ。
 ロマン・ポランスキー監督の初期の作品で、ドナルド・プレザンス主演の白黒映画だ。ちなみに、この作品、僕はすごく好きだ。そして、とても怖い。
 物語はこうだ。作家、芸術家のジョージと妻は、海岸沿いの別荘にて暮らしている。そこに、ある日、「仕事」に失敗した強盗が押し掛けてくる。海は満潮になり、別荘は陸の孤島状態になる。
 この強盗が二人の生活に踏み込み、ジョージの心の中にも浸食していき、そこから彼ら夫婦の関係にも亀裂が生じ、全員がだんだん常軌を逸していく姿が怖い。
 この映画で僕の好きな件は、いくつかあるけれど、中でも好きなのはジョージの親戚が遊びに来た場面だ。一見穏やかだけど、緊張感をはらんだやりとりが展開される。中でも、親戚の子供の動きがいい。この子は双方の大人たちの感情を察知している。子供は、ジョージの妻のレコードに傷をつけ、彼女を「あばずれ」と呼び、そして猟銃を玩具にして、別荘のステンドグラスを粉微塵にする。大人たちの感情を行動化しているように見えるのだ。
 作品もいいけど、役者もいい。まず、ドナルド・プレザンスの「小心者」ぶりがいい。そして妻役の女優さんも美人だ。悪役も凶暴なだけの低知能といった感じでいい。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

(付記)
 これは同じ日付の「目標設定」に続く文章だった。長くなるので分けたのだ。同日にはさらに「果樹園の夢」が挿入されていた。それも別にした。
 『袋小路』はいい映画だったな。主要人物たちがじわじわとおかしくなっていく姿がとても怖かった。もう一度観たいと思う映画だ。
(平成29年1月)

 

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