5月12日(月):闘病記―4
今日も臨時休業中。金曜日の時点で、三日の休業を予定していた。つまり金土日と休む予定だったのだけれど、大事を取ってもう一日休業にした。つまり、今日までである。でも、明日は火曜日の定休日なので、実質、五日間の休みとなる。
今日はリハビリと運動を兼ねて、一日歩こうと計画する。ツーはほぼ全快している。最初の歩き始めだけ意識していたけれど、すぐに平常通りに歩けるようになった。昨日、頻繁に見舞われた動機、息切れ、めまいも今日は姿を消した。おそらく痛み止めの薬の影響だったのだろう。ただ、一度だけ、大宮のカフェにてふらつき感を体験しただけだ。排尿は昨日よりも回数が増えている。内臓の重たい感じ、倦怠感も今日はかなり影を潜めている。少しずつ回復していっているのを体感する。
朝の内から歩き始める。最初は地元を歩いていたけれど、じきに物足りなくなってきて、電車に乗り、河原町まで出る。寺町から三条、御池のゼストまで足を運ぶ。途中、古本屋に何軒か入り、三冊ほど購入する。パソコンも持ち歩いていたので、疲れると喫茶店に入り、サイトの原稿を一本書き上げる。
しかし、酒も飲めない、食べるものも制限されるとなると、繁華街を歩いても見るものがなくなった感じがした。いつもなら足を踏み入れないようなスーパーや食料品店に入ったりする。何を買うわけでもなしに。
いろいろ見ていくと、飲むお酢がやたらと目に止まる。料理に使うようなお酢ではなくて、水なんかで割って飲むお酢のことだ。
ふと、医師から言われた言葉を思い出す。体を酸性からアルカリ性に変えないといけないと。酒を減らしなさいとか、野菜をもっと食べなさいとか言われるのはいいけれど、体質を変えなさいと言われるとなんだかとても大仕事のような気がしたのを覚えている。そんなことを回想しながら、お酢はいいかもしれないなと思い、一本、購入する。
こういう飲むお酢もいろんな種類があるということを初めて知った。リンゴ味のものは知っていたけれど、レモン味だのハーブだの、いろんな変り種があるものだ。迷った挙句、ザクロ味のお酢に決めた。ちなみに、帰宅して一杯作って飲んでみたけれど、案外イケる。
その後もテクテク歩く。水分補給しながら歩く。尿意を催したら、公衆トイレやパチンコ店のトイレに入る。そうして大宮まで歩いた。大宮のカフェにて、今日購入した本を一冊読み終える。一冊と言っても薄い本だけど、それはアンドレ・ジッドの「未完の告白」だ。良かった。面白かった。100円で購入した本だったけれど、それ以上の価値が十分にあった。
午後、ツーが鎮まると飲酒欲求が生じた。それでも、今日も酒に手を出さなかった。これで四日目だ。断酒と食事から始めている。コーヒーやタバコのことは今のところ手つかずだ。コーヒーもあまり量を飲まない方がいいらしい。利尿作用のあるものは、かえって腎臓に負担をかけるという話も聞いたことがある。今日、コーヒーは三杯だった。まあ、ギリギリセーフのラインだ。いつもはこの倍以上飲む。
体に悪いことのオンパレードだけれど、一度に全部取りかかると、それもたいへんなことだ。断酒もこれからキツくなるだろうし、食事の制限なんか現時点で既にたいへんだ。今日は朝、ご飯を一善、海苔で食す。昼はお蕎麦を立って食す。その後、野菜ジュースを一本飲む。夜は野菜にほうれん草のお浸し、それにご飯一善だけ食す。夕飯に、母が魚を焼いてくれていたけれど、それには手をつけなかった。それくらい食べてもどうということはないだろうけれど、今日は控えた。母には悪いと思うが、母も事情を察してくれている。そうして、メインのおかず抜きの夕飯になったのだ。
今日一日、ご飯を食べた気が全然していないし、これを書いている夜、すでにものすごい空腹感を覚えている。明日の朝まで我慢しよう。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)
(付記)
この時はよっぽど具合が悪かったのだな。ツー自体は、断酒中にも経験したことがあるから、酒の問題というわけでもないように思う。もっとも、酒を飲んでいると、けっこうひどいツーが出るのは確かだけど。
(平成29年1月)