1月19日(日):Y君の待ち伏せ
生活を変えるために断酒にも取り組んでいる。昨日が6日目だった。しかし、職場から出た所で、昔の酒飲み友達のY君とばったり出会った。何でも、彼は僕の所へ行くつもりだったと言う。
用があると彼は言う。どうせ飲むのだろうと、僕は既に分かっていた。酒飲みが僕に用なんてないはずだ。案の定、呑みに行こうというお誘いだ。彼の奢りで。
僕は少しだけ付き合うことにした。水割りを二杯だけ飲んだ。これまで散々彼の分も払ってきた。少しぐらい返させないと腹の虫が治まらない気がしたからだ。
初めから二杯と決めていた。それ以上は飲まない。そこは守った。そして、不味い酒を口にした。
生活を変え、新しい日々を過ごしたいと思っているのに、以前の人間関係が亡霊のように僕に付き纏う。Y君ともいい加減縁を切ろうと思っている。役に立たない人間関係はもう要らない。
Y君という男は酒と金にはだらしがなく、一緒に飲みに行っても、全然金が足りないとかいうことがよくあった。それだけの所持金しかないのだったら、それ相応の店で飲めばいいのに、値の張る所に行くのだ。割り勘だと最初に約束しておいて、結局、僕の方がほぼ二人分を払う。いつか返すからと彼は言うけれど、酒飲みのそういう言葉ほど当てにならないものはない。金があれば、僕に返す前に、自分が呑むだろうということは火を見るより明らかだ。下らない人間ばかりだ。
おかげで昨日の晩にやる予定だった作業を今晩することになった。今夜予定していたことは、明日以降に持ち越しだ。ただ遅れを取っただけだ。でも、この遅れを取り戻すのに、どれだけの時間がかかるだろうか。
今は人付き合いも億劫に感じられている。仕事をして、後は勉強や読書だけをしたい。それ以外にしなくてはいけない雑用があるのは仕方がないけれど、遊びや友達付き合いはもう十分だ。特に僕に何ももたらさないような人間関係はこちらから御免こうむりたい。そんな無益な時間を費やすほど、僕はヒマではないんだ。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)
(付記)
当然、今はこのY君とも縁が切れている。面倒くさい人間関係、無益な人間関係は、今の僕には煩わしいだけだ。大切な関係だけを残していく。
(平成28年12月)