6月8日:テレビを見て終える

6月8日(水):テレビを見て終える

 どうにかこうにか、今日も無事に一日を終えた。年を重ねると(と言ってもまだ40代だけど)、一日の重みが若い頃とは違ってくる。無為な一日は勿体ないと思うようになる。

 僕はタバコのみなので、口内洗浄液をよく使用する。「モンダミン」とか「リステリン」といった商品名で言った方が分かりやすいかと思う。どの商品にも使用方法の欄に「20秒~30秒すすぐ」と書かれている。
 あまり意識したことはなかった。僕がいつもしているのはたぶん10秒くらいだろうなどと思い、ふと、正確に時間を測定してみようと思いついた。
 洗浄液を口に含む。いつものように口内をすすぐ。いつもならこの辺りで吐き出すというポイントをチェックすると15秒だった。いつもの倍の30秒、すすぎ続ける。30秒って、けっこう長いと思った。
 案外、使用方法通りの使用をしていないものが多いかもしれないなと、改めて思う。

 帰宅して、食事しながらテレビを見る。東京都知事の問題をやっていた。もう見飽きた感じがする。
 その後で、同じ東京で、今度は原宿駅のことをやっていた。原宿には行ったことがないけど、駅の駅舎があんな木造のものだとは知らなかった。もっと近代的な駅になっているものと思った。東京オリンピックまでに駅を建て替えるというニュースだった。それもいいだろう。もし東京オリンピックが不祥事のために中止になれば、新駅舎は負の遺産として残しておいてもいいだろう。
 新しい元素が日本で開発され、「ニホニウム」と名付けられるそうだ。新元素の開発がどれだけすごいことなのかに疎い僕は、それがそんなに大きなニュースだとは思えなかった。
 某アイドルのツイッターに脅迫文を送りつけたとして、40代後半の男性が逮捕されたそうだ。ようやるわ。逆に売れないアイドルは自分に脅迫文を送りつけて、いわば「狂言脅迫」をして、注目を浴びることもできるかもしれないと、そんなことを思った。それはともかく、10代とか20代の若いアイドルに、エエ年こいたオッサンが何をやっているんだということだ。クラインの言う「分裂ポジション」のなせる業だな。
 ホント、そうなのである。アイドルに脅迫状を送り付けることも、寅さん映画を見ると寅さんの口調になることも、ブルース・リー映画を見るとみんなカンフーの達人のような足取りになったりするのも、あるいは、力石(あしたのジョー)の葬式を現実に行うのも、すべて同じ心理機制によるものなのだ。人生最早期の乳幼児期の心的態勢から、僕たちは完全には脱しきれないものなのだな。

 その後は、お馴染みの「水曜日のダウンタウン」を見る。なぜか見てしまう。
 マジシャンが万引きすると、万引きGメンでも見破れないというマリックさんのプレゼンが面白かった。面白かったというのは、マジシャンが万引きすると、ああいう手口になるのかというところに感心したのだった。
 あと、10回クイズは必ず引っかかるというのも良かった。「10回クイズ」とは、例えば、「ピザ」と10回言わせた後、肘を指して「ここは?」と問うものだ。答えは「ひじ」なんだけど、「ピザ」につられて、うっかり「ひざ」と答えてしまうというものだ。
 このプレゼンで感心したのは、幼稚園児はこれにまったく引っかからなかったところだ。ピアジェの言う「シェマ(スキーマ)の形成」ということがとてもよく理解できた場面だ。この場面を見て、千鳥さんのプレゼンよりも、「やっぱ、ピアジェはすげぇ」と感心したということである。
 その他、「ミックス・ルール」対決は、あまり僕は好きではない。わんこそばの早食いと五目並べをミックスしたものだったけど、早食いチームは囲碁では素人だし、囲碁チームは早食いとは無縁の人たちだ。両者にハンディが与えられないと公平じゃない感じがする。早食いチームは2倍食べないといけないとか、早食いチームは対戦前に3個碁石を置くことができるとか、そういうハンディをつけて、限りなく条件を均等に近づけた方が面白いと思った。別に、僕は番組の御意見番ではないので、どうでもいいことなのだが。

 そんなこんなで、今日も無事に一日を終えられそうだ。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー 

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