3月7日:別れ 

3月7日(月):別れ 

 

 昨夜はほとんど寝れなかった。ある人との別れを意識してしまったのが拙かったようだ。 

 今日、その人は外国へ行く。向こうで生活することに決めたのだ。その人の決めたことだから、僕は口出ししないでおこう。静かにお別れしようと、そう決めていて、そのようにやってきたつもりだったけれど、昨夜、ふと、その人のことが意識に上って、「ああ、もう会えないんだな」などと思うようになり、途端に離別を意識してしまった。 

 そうして、寂しい感じに襲われ、内面が騒がしくなり、落ち着かなくなった。寝ようとしても眠れない。 

 別れを経験する時は、いつもこんな感じだ。特に付き合いの長い人だったり、感情的なつながりの強い人の場合だと、特にひどい。何日も後遺症を残すこともある。 

 先日、子供と別れられない親の面接をした。親子の間でさえ、いつか別れる日が来るのである。その事実を受け入れられない人たちは苦しい思いをすることになる。当然のことだ。だから、別れは避けられないのだから、それを耐えて、受け入れるようにしていかないといけないのだ。 

 日頃からそう思っている僕ではあるが、やはり、別れは寂しく、時に辛い経験となる。 

 人との間では、常に別れの危険がある。そして、人と別れると、最後に残るのは自分という存在だけになる。結局、いつも最後は僕という存在が僕に残されることになる。 

 

 寝不足で、少し寝坊してしまったが、どうにかこうにか一日の予定を終える。 

 夜、飲みに行く。今週は控えようと思っていたけど、気分的に塞ぎ込んだ感じがして、ついつい、行きつけの飲み屋さんに入る。 

 顔見知りと何人も会う。みんなが能天気に見えてしょうがなかった。彼らが悪いわけじゃないけど、気分的にマッチしない。 

 不思議なもので、別れを経験して孤独感に襲われているくせに、独りになりたいという気持ちが強くなっていく。陽気な人たちと居るより、独りで静かに過ごす方が良かった。少し選択を間違えたようだ。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

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