9月25日:消えゆく古書店 

9月25日(金):消えゆく古書店 

 

 今日は一応定休日ではあるが、月末の外回り仕事を午前中に行う。午後から職場に来て、明日の準備をしておく。そこから僕の憩いの場へと向かう。 

 僕の憩いの場とは、要するに古書店である。大阪梅田の古書街に行く。とてもいい感じだった。昔の本には、今の本にはない魅力がある。その魅力に包まれているのがとても幸福だ。ただし、僕がこうした憩いの場に行く、必ず手ぶらで帰ることはない。これだけはちょっと困ったものだ。 

 古書店を巡って、何冊か買ってしまった。 

サマーセット・モームの『魔術師』。これは前々から読んでみたいと思っていた本で、今日、一部読み始める。 

 専門関係としては、メラニー・クラインの論文集、ウィニコットの事例本を買う。 

 後、これはきっと読み終えることはないだろうなと思いながら、ヴィゴツキー『思考と言語』上下巻を買う。ヴィゴツキー心理学にも興味はあって、以前から勉強したいとは思っていながら、いつも後回しになっている。発達の最近接領域についても、そしてピアジェ心理学批判についても、学んでいきたいところは多いのだけど、臨床関係の方を優先してしまうので、そのままになっている。 

 あと、推理小説関係でS・Aステーマン『ウエンズ氏の切り札』を買う。ステーマンは昔『六死人』を読んでからのファンだ。もっと翻訳されればいいのにと僕が思う作家の一人だ。この『ウエンズ氏の切り札』は、以前は普通に本屋さんで買えていたものだけど、出版元の社会思想社が倒産して、ついに入手困難になってしまったというものだ。あの時、買っておけばよかったと今にして思う一冊である。 

 あの時買っておけば、ということで言えば、梅田の古書街で一軒閉店したお店がある。ロジャースの本があったと記憶している店だ。今日こそ購入しておこうと思っていたが、見当たらない。もう売れたのかと思ったら、その店自体がなくなっていたのだ。悲しいことだ。どんどん古書店がなくなっていく。つまり、僕の憩いの場がどんどんなくなっていくということだ。これも時代の流れなのだろう。 

 梅田もそうだし、東通り商店街の古書店、天神橋筋商店街の古書店、京都の古書店、さらには高槻にあった古書店、次々となくなっていく。昔の本を買えるお店が次々に失われていくのは本当に残念である。 

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

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