10月15日:キネマ館~『アナコンダ4』 

10月15日(木):キネマ館『アナコンダ4』 

 

 アナコンダ、追いつかないよう、追いかける。 

 意味のない一句だけど、本当にそうだ。 

 深夜の映画で放送されていたのをたまたま見た。この映画、第1作目は見たことがあるけれど、これだけ続編が作られているとは知らなかった。 

 

 細胞を増強、再生させるエキスを作る研究者がヘビを実験台に用い、恐ろしい巨大人食いヘビを生んでしまう。調査に来たアマンダたち一行、発掘隊、そしてエキス研究のスポンサーに雇われた殺し屋の一団が森に入る。そこで巨大ヘビに襲われるというお決まりのパターンである。 

 このヘビが速いのである。自動車で逃げてもそれに匹敵するスピードで追いかけてくる。そのくせ、走って逃げている人間に追いつかないのである。そこで冒頭の一句が生まれたわけである。 

 そして人間が襲われる時には、必ず人間の動きが止まっているのである。逃げている最中に襲われるのではなく、立ち止まったところで襲われたりするのである。CGで合成する関係上、そうなるのだろう。その辺り、チープさが隠せないように思った。 

 あれはどうなのだろう、すべてCGで作成されているように思うのだけど、多少、模型や着ぐるみを使った東宝特撮映画的な撮り方をしたりしているのだろうか。 

 

 一か所、時間の順序がおかしいと感じたところがあったけれど、気のせいだろうか。蘭の栽培小屋でアマンダが気を失ってから回復するまでの時間が何だか割に合わない感じがする。その間に調査団たちのエピソードが挿入されているのだけれど、一体、アマンダはどのくらいの時間、気を失っていたのだろう。そこで夜を明かしたのだろうか。でも、その間にヘビが生き返っているはずなので、すぐ近くに倒れているアマンダをヘビは襲わずに森の中へ行ったということになる。なんだかおかしい。 

 森の中の位置関係もはっきりしない。アメリカとか大陸で言う森は日本のものとはるかに違って、とにかく広大なのだ。それでも登場人物たちが森の中で遭遇する率の高いこと。広大な森の中の一地域だけで展開されている話のように思えてしまう。 

 また、発掘隊の生き残りが一人登場するのだが、彼は腕を食いちぎられたという設定だ。あの巨大ヘビが人間の体のごく一部だけを食うなんて、ちょっと信じられない話である。ケーキを食べずに上に乗っているイチゴだけを食べるようなものだ。 

 そして、このヘビは強い再生能力を持っている。でも、腹の中から爆発させれば死ぬだろうというのは、若干の無理がある。体を半分に切っても、再生するくらいのヘビだ。バラバラにしても一個の肉片からだって再生できるかもしれない。だから再生には限界があるということにしないと辻褄が合わなくなってくる。 

 要するに、物語や設定がいささか荒いのである。気にせずに見れば楽しめるのだろうけれど、僕のような細かなことが気になるような強迫的な人間には無理だ。 

 

 巨大モンスターものの映画で、チープなCG映像と大仰なセリフ回しなど、B級の匂いがプンプンする、なかなかステキな映画である。きっと、ツッコミを入れながら見るのが正しい見方だろう。 

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

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