7月15日(土):このハゲー!
夜、旅館でテレビを見ていると、このタイトルの件をやっていた。あの暴言事件を外国人がどう見ているかというもので、なかなか興味深く拝見させてもらった。
ああいう暴言めいたことは外国でもあるらしい。ただ、外国の議員は優秀な秘書を付けようとするから、なかなかあんな事件も起きないとのことだ。
なるほどと思う。ハゲーと罵る前に優秀な秘書を雇えばいいのだ。優秀な人には優秀な部下がつくものである。だからあの議員さん自身が質を向上させていけばいいだけの話で、自分の質が低いから質の低い秘書がつくことになるのだろう。自業自得じゃないかという気もしてくる。
番組司会のパッくんがいい質問をした。「ハゲ」という罵り言葉は外国にもあるのかという質問だ。中国ではあるらしい。しかし、その他の諸外国では「ハゲ」は罵言として用いられないそうだ。年齢を重ねるとハゲるものだし、当然のことだから誰もハゲを隠そうともしないそうだ。
そう言えばそうだ。外国人はハゲを隠したりはしないなと思った。俳優さんやミュージシャンでもハゲてる人やスキンヘッドにしている人も少なくない。ハゲを過剰に気にしているのは日本人くらいかもしれない。
しかし、どうして日本ではハゲはそんなにマイナスなのだろう。「ハゲ」っていう言葉が罵り言葉として成立してしまうのだろう。そんな疑問が浮かんでくる。ちなみに、「ハゲ」と罵られた秘書は本当にハゲていたのだろうかと、僕の知人が疑問に挙げていたけど、僕は本当にハゲていたのだと思う。本当にハゲていたからこそ、あれが暴言になるのだ。
それはともかくとして、「ハゲ」というのは壮年男性を象徴する言葉である。そう仮定するなら「ハゲ」は壮年男性に対する侮辱ということになる。では、この壮年男性とは誰か。僕は父親ないしは父親世代であると思う。
今、「ハゲ=父親」という図式を仮定した。ハゲを忌み嫌うのは、自分が忌み嫌う父親に似てくるということにつながるかもしれない。相手を「ハゲ」と罵るのは、相手に嫌悪の対象像を見ていることになるかもしれない。相手を罵ると同時に、自分の中にある嫌悪像を投影して、その嫌悪像にも攻撃していることになるかもしれない。
まあ、いずれにしても、ハゲることはなんも悪いことではないのだ。
それと、「~ハラスメント」なる言葉が30種以上もあるというのは驚きだった。こういう言葉も日本特有かもしれない。
なかでも「カラハラ」なんてものもあるらしい。カラオケで歌うことを強要されたりすると、これに該当するらしい。なんだ、こんなもの、しょっちゅう経験することじゃないか。「カラハラだ」なんて騒ぐ前に、「僕に歌わせると、後で後悔するぜ」と言い放って、相手の耳元でとんでもないバカ声で歌い飛ばしてやればいいのだ。そうなると二度と「歌え」なんて言ってこなくなる。
ハラスメントと騒ぐ前に防御の術を講じておく方が得策だと僕は思うのだ。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)