12月17日:ペシーとオプティー 

12月17日(月):ペシーとオプティー

 

 先週末から、今年最後のピークを迎えている。年内最後の面接を受けようというクライアントたちが、この一週間に密集している。例年ではもう少し分散するのだけど、今年はこの一週間に集中する形となった。

 それで今日も朝から予約が入っており、それなりに忙しい一日となった。

 忙しいのはよくても、どうも体調が優れない。目が痛く、体はダルく、頭はボーとする。ちょうど風邪をひいた時に経験するものだ。ホント、風邪かもしれない。最近、連日の寒さがやたらと堪えている。

 昨日と今日はちょっと不調だった。集中できないし、言葉も出てこない。自分の中では、やたらと無理をしたなという感じが残っている。クライアントの役に立っているのかどうか、自分でも分からない。

 僕はそんなに自信満々の人間でもない。クライアントと面接していて、本当にこの人のカウンセラーが僕でいいのだろうかと思うことも度々ある。もっと他にこの人にふさわしいカウンセラーがいるのではないかと思ってしまうのである。

 人の生の重みを実感すればするほど、カウンセラーとしてやっていく自信が失われていくようだ。他人の生に関わるということが、どれほど重大なことであるかを自覚するようになる。引きこもりがちの子供からインターネットを奪い取った母親や、親を変えようと暴力を振るう子供や、上司を変えようと攻撃する男性など、僕から見ると、みんな軽はずみすぎる。軽率すぎるのだ。他人の人生に影響を及ぼすということがどういうことであるのか、彼らは知らないのだと思う。

 

 仕事の合間を縫って、本も読む。デニス・ホイートリー『黒魔団』を読み終える。当初では四日で読み終える計画だったけど、六日かかってしまった。その他、ブラウン『フロイドの系譜』を読み始める。こちらは昔、精神分析を勉強し始めた初期の頃に、特にお世話になった本だ。もう一度、現在の僕の目線で読み直してみたくなった。当時を懐かしむだけでなく、新たな見方や読み方、新たな発見などがあるかもしれないと期待しつつ、着手する。

 世の中には面白い本やいい本がたくさんあるものだ。人に直接影響を与えるより、書物を通して影響を与える方がまだましだ。そういう意味では、作家さんたちが羨ましい。

 いっそのこと、本だけを読んで余生を送れたらいいのにとも思う。

 

 イカン、イカン。僕の中のペシーが騒いでおる。ペシーというのは、僕の中におるペシミズム野郎である。今、その名前を付けた。このペシーを手なずけて、オプティ―(これは僕の中のオプティズム野郎である)と共生させないと。僕の場合、あまり一方が優勢になり過ぎないように、バランスを取った方がいいのだ。

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

 

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