7月20日:変化なきことに過去はない

7月20日(金):変化なきことに過去はない

 金曜日の朝に来られるクライアントが、今日はその人の事情で時間が変更になった。そのため、イレギュラーな時間割を組むことになった。朝は少しだけゆっくりできる時間が生まれたけど、昼休みは潰れる。まあ、仕方がない。100パーセント僕に合わせてくれるわけではないし、僕の方もクライアントに合わしていかなければならない。

 大切なことは前に進むことだ。今年は3ヶ月単位で考えている。各3ヶ月にそれぞれ中心となる作業目標を設定している。7~9月の3ヶ月では、まず動画広告を終わらせること、動画広告の完成に伴ってランディングページを手がけること、これがまず一つ目の目標だ。

 次に、お盆休みを中心にして、室内をきれいに清掃するという目標がある。概ね8月でやってしまうだろうと思う。

 サイト作業、特にSEO関係のことを済ませる。これは7月20日現在、停滞したままだ。そろそろ取り組む必要があるな。

 その他、諸々の作業目標がある。例えば、過去の記録整理とか、現在未公開にしている原稿をサイトに公開していくこととかもあるが、あまり事細かに書くのは控えよう。後でこれを読み返したときに、達成できていないものがたくさん見つかってしまうと、自分が恥ずかしいと思うだろうから。

 夕方のクライアントはやっぱりキャンセルとなった。まあ、また来ては、キャンセルするだろう。こういう人はあまりこちらから働きかけない方がいい。後で揉めることも多いからだ。

 そのおかげで、夕方からは時間が空いた。この時間に事例抽出をやっておく。最近、これが楽しい。開業して初期のころはこれをやっていたのだけど、いつしかやらなくなった。当時、書き出した事例はもう取り出せない。というのは、その頃に使用していたパソコンが壊れて、取り出せなくなったデータが数多くあるからで、その中に抽出した事例も入っていたように思う。過去分は諦めて、また、気持ちを新たにやっていこうと思っている。

 あまり厳密に決めていないのだけど、100例くらい溜まったらブログの方でアップしてもいいかなと思っている。

 今日のクライアントに説明することが難しかった。過去の子供時代を取り上げるのではなく、現在の子供時代を取り上げることをどう述べたらいいのかで迷った。過去の子供時代が問題なのではなく、現在における子供時代が問題なのであるが、それを上手く説明する手段を思いつけなかった。

 臨床家も、あるいは一般の人も、過去に原因があるという思考から脱却した方がいいと僕は思うことがある。現在の原因はやはり現在にあるのだ。もし、原因というものがあればの話だが。過去に原因を求めれば求めるほど、過去の持つ呪縛力が増大することだろうと思う。そして、その過去は当人にも臨床家にも手に負えないものになっていくことだろう。そして、ますます過去に目が向かうことになるだろう。目が向かえば向かうほど、過去の呪縛力が増していくのではないだろうか。この悪循環から抜け出さなければならないのだけど、その糸口が見つからない。

 このことを理解するには、変化するものだけに時間が生まれるという観念を持つことが必要である。現状維持されているものには時間経過がないのだ。過去もそうであり、現在もそうであり、未来もそうであるといったものには、時間軸が存在しないのだ。客観的な時間経過は存在するが、その主体にとっての時間が存在しないのだ。

 従って、子供時代から不変のまま保持されているものには過去はないのだ。それは現在なのだ。だから現在に原因が求められなければならないのだ。もちろん、原因というものがあればという前提が付くのだが。

 ああ、難しい。この思考自体は簡単なことなんだ。変化したものだけが過去に位置付けられるのだ。僕の身長は170センチほどあるけど、僕にも身長が120センチだった時代があった。今、僕は120センチではないから、120センチ時代のことが過去になっているのだ。そのまま120センチのまま身長が伸びなかったとしたら、僕には120センチ時代というものは存在しなくなるし、これに関しては過去や現在、未来といった区分けも不可能である。

 クライアントたちは過去に原因を求めたりするが、それは過去ではないのだ。変化していない事柄には過去が存在し得ないのだ。子供時代に親との関係が悪かった人が、今でも親子関係で苦しんでいるということは、その子供時代は過去ではないのである。その子供時代がそのまま現在なのである。だから原因は子供時代にあるのではなく、現在の子供時代にあることになる。いちいち断りを入れるけど、それは原因というものがあるとすればの話だ。

 過去は人を苦しめない。本当に過去になっていることであれば尚更そうである。過去のことで苦しめられるというのは、それが過去にならない、つまりそれが変化していないということを端的に示しているものなんだと思う。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

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