7月11日(月):ウンザリな営業
今日もサイト復旧作業に従事しようと計画していた。
パソコンをオンにし、ネットの接続して、原稿を準備して、とここまでやったところで電話が。
仕事の電話ならまだしも、営業の電話だ。しかもこの営業が下の下だからやる気が失せる。
この時期、新入社員さんがそろそろ営業とかやり始める時期だ。もしフレッシュマンさんだったら、あまりキツイことを言うのもかわいそうだと思い、こちらとしては最初から断るつもりであっても、営業さんに営業させるだけさせておいて、そこから丁重にお断りしようという気持ちである。
ああ、実に下らん。こちらの思惑通りには進まないものだ。
僕の中では基準がある。営業の電話で10分もかけたらアウトだ。要件を伝え、相手の意向を聴く。それだけのことに10分以上かかるというのは、その営業が仕事ができないことの証拠である。
そんな無茶なと思うかもしれないけれど、下手な営業は下調べをしないのである。下調べせず、先方さんに電話をかけてから先方さんに質問して聞くということをするのである。時間がかかるはずである。そんなもん、事前に調べておけば時間を短縮できるのに、それをしないだけのことである。
ウチの下調べをしないのに、ウチに必要なサービスなり商品なりの提案ができるわけがないのだ。ウチのことを調べずにウチが何を必要としているかなんて、どうやって分かるというのか。
そうなると、この営業は限りなく「押しつけ」に近づいてくる。自分たちが提案したいサービスを、ウチが必要としていると勝手に前提して、押し付けるという形になるわけだ。
この種の「押しつけ」感、強引さというものが強く全面に出る営業がいる。今日の人もそうだった。僕にはそう感じられた。
彼らは最初は明日の火曜日にお伺いして会いたいと求めてきた。火曜日はウチが定休日なのだけれど、彼らがウチのことを調べていないのが一目瞭然だ。それで火曜日は休みだから無理だと伝えると、では水曜日の朝9時ではどうか、と来た。ウチの営業時間は10時からと書いてあるのに、この営業は二度にわたって地雷を踏んだな。まったくウチのことを調べていないのが丸わかりである。
何をトチ狂ったのか、僕が話を聴いているからイケそうなどと思ったのか、とかくしつこい。僕は相手から「分かりました。水曜日はお伺いしません」という一言を聴きたいだけなのである。
何と言うか、急に来訪してきそうな気もしてしまうのだ。急にやってきて、「お伺いしていないとは言ってない」などと開き直られても困るのだ。だから、「行かない」と相手からハッキリと聞かない限り、安心して電話を切れないのである。
ともかく、疎通性のない営業は疲れる。同じことを何度も繰り返し言わなければならないからである。だから時間がかかるわけである。一回伝えて、それでスッと伝わればゴタゴタしないのである。
営業の人も僕に質問してくる。基本的に答えられるものには答えるのであるが、その実、彼らがどういうことを訊いてくるのかチェックしている。それはともかくとして、その時の質問というのが、自分たちが提案したいサービスに関連があるのかどうか僕には不明である。おそらく関係のない質問なのだろうと僕は思っている。
なぜそうなるかと言えば、下調べをしないのと同様に、準備をしていないのである。今日の人はおそらく準備が不十分だったのが見え見えである。自分たちが何をしたいのか、自分はよく分かっていても相手には分からないだろうから、どのように伝えたら相手にすんなりと理解できるだろうか、どういう順序で伝えるとより理解されるだろうか、どういう質問をしたら良いか、どのような形で質問するのが良いか、そうしたことを事前に準備していないのだろう。
実は僕は彼らが何をしたいのかがまったく見えていない。
営業の人の言い分では、僕を必要としている人と僕をつなげるということであるが、こんな暴力的なサービスはない。僕のことを見たくもないと思っている人だって少なからずおるはずで、そういう人にまで僕を届けるつもりだろうか。僕から見ると、このサービスは狂気の沙汰である。
僕の理想は無仲介だ。カウンセリングを探しているAさんがいるとしよう。Aさんがあれこれ検索して、僕のHPに遭遇して、ここが良さそうと思い、来談してくれるというものだ。Aさんと僕の間に仲介物が何もないというのが僕の理想であるわけだ。
だから口コミなんかも邪魔である。同じように、口コミというのも暴力的なツールである。あるお店の口コミが良いとしよう。そこに行って自分が悪い体験をしたとしよう。この人はどうなるだろうか。そんなところからでも「人間からの脱落意識」が発生するのである。
ああ、疲れた。長々と綴るのも馬鹿らしくなってきた。
こういうのがいい。まず、電話をして、「弊社はこういう会社で、御社に対してこういうサービスを提案したい。つきましてはお会いして説明申し上げたいのでお時間をいただけないでしょうか」
僕はまず「無理です」というだろう。今週は時間がないなどと言うかもしれない。そうしたら、
「それならまたの機会にします」と引き下がってくれるとありがたい。
その上で、「弊社のHPだけでも参照してください」とか「弊社のことをご記憶ください」とか、あるいは「資料だけでもお送りします」とか、それでいい。そう要求されたら、僕はHPを見るだろうし、その会社をメモにしたためるだろうし、送られてきた資料には目を通す。いくら僕がヘンコ者でも、それくらいはする。
何よりも、これで最初の接触は成功しているのである。関係というものは、人間どうしであれ会社どうしであれ、最初が決め手となるものだ。いいスタートを切るということが目標なのである。売れるか売れないかはその後の話である。
まあ、こんな話はもうどうでもいいや。僕は僕の仕事に戻ろう。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)