6月26日:動画撮影

6月26日(火):動画撮影

 いよいよ動画撮影である。

 朝は早めに来て、室内を掃除しておく。少しばかりリハーサルをやっておこうかとも思ったが、余計に緊張しそうなので中止。ぶっつけ本番でやることにした。

 どうもカメラを向けられるのが僕は苦手だ。明治の人たちは「魂を抜かれる」などと言っていたそうだけど(けっこうな「分裂病的思考」であると僕は思うのだが)、僕は頷ける。自分の分身がカメラの中で生まれるのだから、そう考えると、「魂が抜かれる」は正しい表現であるようにも思えてくる。いずれにしても、感覚的には正しいと僕は思っている。

 撮影自体は1時間程度で終わった。予期していたよりも緊張感がなかった。あまり緊張感が無いというのもよろしくないかもしれないが、まあ、いいや。

 この緊張感の無さというのは、結局、僕が業者に丸投げしているからだろう。こっちのやることはやって、後はすべてそちらにお任せします、という姿勢なので、緊張感に欠けるのだろう。

 まあ、もうどうだっていいや。あまり動画広告に期待はしていない。ただ、そういう広告媒体を持っているということが重要だ。一昔前ならホームページを持っているかどうかだったし、もう一つ昔ならパンフレットを持っているかどうかということが重要だったのと同じで、これからは動画広告を持っているかどうかも問われるようになるだろうと思っている。そういう時に、動画広告も持っていますと言えればいいのだ。

 さて、撮影が終了する。一気に脱力する。

 一応、月末なので、支払い関係のことをやっておいて、そこから外出する。

 梅田の方に遊びに行く。遊びといっても、僕の遊びは一般の人がイメージする遊びとはずいぶん異なる。僕の遊びとは古書店巡りをすることである。梅田の古書店から、天神橋筋の古書店へと、ひたすら歩いて「宝探し」をする。そう、古書店巡りには宝探しの感覚があるのだ。分かる人には分かってもらえるのだろうけど、分からない人からすれば本当に理解不能の感覚だと思う。

 何軒も巡って、エライこっちゃ、8冊も買ってしまった。買うのはいいけど、読む時間があるんかいな。

 夕方になる。暑かったので冷たいビールが恋しくなってくる。梅田に戻り、昔、よく行っていた串かつ屋や居酒屋を回る。懐かしい思いがした。けど、新しい店を開拓しようという気持ちにはならなかった。

 その後、高槻に戻る。これだけ早く帰ってこれるというのは、巡る古書店の数が減少したためでもある。今、思い出せるだけでも6軒は閉店した。同じように、ビールを飲むにしても、昔からある店が減っているのだ。飲み屋はたくさんあれど、通いなれた店は少なくなっている。

 以前なら一日がかりで巡った行程も、今や数時間のものになってしまった。寂しい限りである。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

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