7月4日(月):政見放送(2)
今朝も政見放送を見ておいた。誰がどんなことを言うか、またこの人がどういうことを言うかとか、これを言うのはどういう人なのかなど、そんなことまで考えながら見る。
とはいえ、特に結論めいたものは何もない。政見放送なので、多少の虚飾は見越しておいた方がいいし、必ずしもそれが本心とは限らないという可能性も残しておかないといけない。つまり、それは選挙で当選するための活動なので、その目的のために本心をごまかすこともあるだろうということだ。
だから、ああいう政見放送というものにどれほどの意味があるのか僕には不明に思えてくる。それでも、彼らの政治活動として一応拝見しておく。
いくつもの政党の中で、特に異色なのはNHK党である。政見放送でもついつい見てしまう。「ぶ~っこ、ぶっこ、ぶっこ、ぶっこわす~」の歌まで耳にこびりついてしまった。
それで候補者が画面に映るわけだが、なんだか変わった人が多いなという印象を受けている。それに、投票用紙の一枚目には名前を、二枚目には政党名を記入してくださいとしか言わないのである。最後に「NHKをぶっこわ~す」の決め台詞を言ってお終い。個人的な信条などを表明する人はいないのである。
続いて党首の人が出てくる。上着と背景色が同じだ。顔と黄色のネクタイだけが画面上にやたらとクローズアップされるという人だ。
党首の話ではN党は当選を目指していないとのこと。助成金を得るための活動であるようだ。その助成金によって国民のNHKとのトラブルを片付けるというわけだ。これは法的に許されるのかどうかちょっと疑問に思えてくる。つまり、その理念はいいとしても、政党助成金をそういう目的のために使用することが選挙法などに引っかからないのか疑問に思うわけだ。
まあ、おそらくそういうことはないのだろう。政党には専門家もいるだろうし、専門家の意見なんかも踏まえてそういう方策を打ち出してるのだろうと思う。余計な心配はしないでおこう。
とにかく、NHK党の政見放送だけはなぜか見てしまう。出勤の準備をしている時でも、つい手を休めて見入ってしまう。今日はどんな人が出てくるだろうか、そんな期待から見てしまう。
そこで思うのだ。テレビを置いているだけでNHKの集金に来られたことがあった。今もそのテレビは事務所においてある。基本的にこのテレビはテレビ番組を見るためのものではなかった。それでも集金人が来て、NHKの受診料を払えと言ってきたことがある。確かにあの集金人はタチが悪かった。
これはあくまで僕個人の中でのお話だ。僕はNHK党の政見放送をついつい見てしまう。見る自分が悪いのだけれど、この強制感とか拘束感というものは、案外NHKと同じようなものかもしれない、とそう思い始めている。
まあ、僕の個人的体験だ。おそらく、NHK党の政見放送をつい見てしまうという人はそれほど多くはないかもしれない。
ああ、そうだ、いつぞや「NHK党」という党名も誤解を招くなとも思ったことがあった。今、思い出した。その党名ではNHKを支持する党のように聞こえてしまうと思ったことがあったのだ。「反NHK党」とでもしなければならないところだ。
まあ、無駄なお喋りばかりしているな。そもそも僕はNHK党に投票するつもりはないのだから、どうでもいいことなんだけれど、政見放送に関してはNHK党が一番面白い。政見放送だけ見て、投票しない。そうして彼らの言う500円を僕は彼らにはあげないことに決めている。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)