10月1日:増税国に明日はない

10月1日(火):増税国に明日はない

 

 今日は定休日だ。何かと外出予定を組んでいた。でも、すべてキャンセルだ。熱の方がハンパじゃなくなってきた。38度近くまで上がっている。

 若い頃だったらどうってことはない程度の熱だ。40度の熱があっても夜勤をしたこともあったし、40度超えなければ仕事を休んではいけないなどと豪語していた時期もあった。それが嘘のように今は弱った。

 ともかく、今日は寝込んでおく。何もかも放り投げることにした。一つの用事だけを除いて。それはDVDレンタルの返却である。

 午後から、一時間だけ外出する。レンタル屋まで足を運び、返却する。ついでに新たに借りておく。何を借りるかはもう決めてあったので、大した時間もかからなかった。帰路はバスに乗る。

 そうか消費税が10%になっているのか。レンタル料金を払う時に気づいた。次にタバコを買った時に再び増税を実感する。

 そう言えばワイドショーなんかでもこの話題で持ち切りだったな。

 

 僕がテレビで観たのは、24時間営業している居酒屋さんだった。日付が変わる0時以後の注文はすべて10%になるということだった。

 僕は、「あれ?」と思った。0時以前の入店であれば、会計や注文が0時を過ぎても8%のままなのではないのかと、そう疑問に思ったのだ。0時以降の入店客から適用されるものだと思っていた。まあ、どうでもいいや。

 それにしても、今回の増税は分かりにくいものだった。テイクアウトは8%で店内飲食では10パーセントと、同じ商品なのに税率が違うという変な形態である。それで、コンビニなんかのイートインはどちらになるんだとか、そういうグレーゾーンの話もよく耳にした気がする。

 しかし、こういう議論こそ、政治家の思う壺であったのかもしれない。結局、一部分の増税は全体の物価高になるものだからである。限られた一部分にだけ注目を集めさせ、全体に議論が至らないようにする作戦であったような気もする。

 要は「衣食住」である。「食」に関する部分では議論がなされた。でも、「衣」や「住」の部分ではどうだろうか。しっかり10%に増税である。

 僕の職場は家賃が上がる。他もそうであろう。テナントを維持するのに以前よりもお金がかかるわけだ。それにガソリン代も上がるという話も耳にした。流通に以前よりもコストがかかるというわけだ。商品の製造も以前よりコストがかかるということである。

 食品が8%の税率であったとしても、製造費、流通コスト、店舗の維持に今までよりも経費がかかるとなれば、値上げするしかないのである。税率が据え置きでも、原価・物価が上がるのなら、消費者としては同じことである。

 10%はまだマシだという意見もある。確かに、ドイツなんかでは消費税が20数%であったりする。今はどうなっているか知らないけれど。でも、その分、福祉が充実しているのである。消費税は高率だけれど、老後のお金がほとんど要らないのである。老後2000万円なんて話は出てこないのである。老後の生活が保証されるから、高額の税率であっても国民は不満を言わないというわけなのだ。

 そして、増税しなければやっていけない状況が目に見えていたのに、オリンピックなんてバカなことをやらかそうというわけだ。愚の骨頂である。税制が厳しいのに、多額の税金を投入するオリンピックなんてバカ騒ぎをやらかそうって言うんだから。

 ホント、オリンピックを招致した連中は最悪だぜ。日本を潰す気かと、正気を疑いたくなる。最近議員と結婚した元女性キャスター、名前の半分がカタカナのあの女性キャスターも、オリンピック招致で株を下げたものだと僕は思っている。

 結局、増税は決行されたのだ。これまで増税反対を謳ってきた政党たちも無念の敗北である。これまでの選挙はなんだったんだと思いたくなる。

 そんなに悲観するでない、8%が10%になっただけだと言う人もあるかもしれない。つまり、上がったのは2%だけだと。しかし、そこを軽く見てもいけないように僕は思うのだ。

 同じ2%の増税であっても、3%から5%に上がった時はもっと抗議の声を僕は聞いたように思う。もっと反対の声が聞こえていたように思う。つまり、同じ2%の増税だけれど、それに対する無関心あるいは諦観の度合いは桁違いに大きくなっているかもしれないということである。

 最初は3%だった。3%ではやっていけず、5%に上がった。でも、5%ではやっていけなくなり、8%に上がった。そして、今、8%ではやっていけなくなり、10%に上がった。毎年、日本のどこかで自然災害で多大な被害が生まれている。復興に税金を投入しなければならない。そしてオリンピックだの万博だのといった大掛かりなイベントを抱えている。近いうちに10%でもやっていけなくなるだろう。目に見えるようだ。そうしたら、また増税ってなことになるんだろう。増税すれば国民の生活は厳しくなるばかりである。僕の考えでは、国民の財布から手っ取り早く金を吸い上げる最善の方法が増税である。そして、増税しか能がない政治家は国を潰す。それに無関心な国民はさらに国を潰す。

 俺たちに明日はない。そして、増税国日本にも明日はない。

 

 ああ、イヤだイヤだ。熱で寝込んでいる日にこんな面倒なことを考えると、余計に気が滅入る。こんなことを長々と綴っている自分に嫌気がさしている。

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

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