12月29日(火):コロナ・ジェノサイド
もうこのシリーズを書くのも飽き飽きしてきた。言いたいことはたくさんあれど、いちいち言う気にもなれない。
首相は先手先手の対策を打っていくと表明しているそうであるが、先手の意味が分かっているだろうか。先手を打つとすれば、次に何が起りそうであるかを予測できていなければならない。それが起きる前に手を打つということなのだから。一体、次に何が起きると考えているのだろうか。
次に何が起きるかというのは、今現在何が起きているのかということとは違う。今現在起きていることの延長に次のことがあるとしても、両者は異なる。また、すでに起きていることとも異なる。今起きていること、すでに起きていることへの対策ができていないのであれば、先手を打つという対策も期待が持てそうにない。
国会議員の人でさえコロナ感染で死亡したのだそうだ。僕は認識を改める。国会議員は優遇されるものだと思っていた。だから危機感が乏しくなるのだろうと信じ切っていた。僕はその認識を改める。結局、一般国民であろうと議員であろうと、危機は同じである。同じであるはずであり、同じであるべきなのだ。議員だけ特別ということは許されないことである。
時々、コロナで騒ぐことはないと言う人がいる。インフルエンザでも毎年一万人くらいの人が亡くなっているのだ、それに比べたらコロナはまだましだというのが彼らの論旨である。
この論旨の難点は、死亡者の数だけで比較しているというところにあると思う。インフルエンザとコロナと単純に並列して比較できるものであるかどうか、僕は疑問に思う。仮に彼らの論旨を踏まえるとすれば、インフルエンザの流行で失業者や自殺者は増えないだろう。そういう人たちの数を含めればどちらがより悲劇的であるか一目瞭然であると僕は思う。
比較にならないのはその死に方である。いきなり死に至るのだ。あの議員さんの死がそういうものだった。さっきまで普通に会話していた人が次の瞬間には死亡しているのだ。一体どういうメカニズムでそういうことが起きるのか不明であり、僕はそこがコロナの一番の謎だと思う。
いきなり重症化したり、いきなり死に至る、別れの言葉を交わす暇もないのだ。瞬時にその状態に陥るのだとすれば、コロナはインフルなんかよりはるかに恐ろしいウイルスだ。
変異種のことも取り沙汰されている。イギリスとアフリカで見つかったとのこと。感染力が従来のものより強くなっているそうだ。ウイルスも生存を賭けているのであれば、抑え込みされればされるほど感染力を強化していかざるを得なくなるのだろう。そうして生存のために形態を進化させていかなければならないのだろう。ある意味で当然のことであるようにも思えてくる。
ここでイギリスやアフリカをスケープゴートしないように気を付けなければならない。そこからの帰国者を非難しないようにしなければならない。と言うのは、たまたま変異がそれらの地域で起きたというだけのことだ。日本で変異種が生まれる可能性だって十分にあり得ることなのだ。
冒頭のテーマである「先手を打つ」とは、僕の言う意味ではそれである。新たな変異種に対しての先手でなければならない。
脱コロナがいつごろになるか。イギリスの研究者が発表したところによると、アメリカが一番早くて来年の4月だと予想していた。日本はさらに一年遅れて2022年の4月という結果だった。僕は個人的には日本が脱コロナを迎えるのはさらにもう1,2年後のことだと思っている。2024年までは生き残らなければならない。
さて、この研究の結果は、少なくとも現時点における予想であるので、今後の展開によって変わる可能性があることを認めよう。日本はそれよりも早くなるかもしれないし、遅れるかもしれない。どちらになるかは国と国民次第だ。
アメリカと日本とで一年の差があることの根拠の一つはワクチンである。それがけっこう大きな要因でもあるそうだ。自国でワクチンが作れるか否かで大きく違うそうである。アメリカは自国でワクチン開発をやっている。日本でも取り組んでいるとは言え、あまり脚光を浴びないという感じがしている。
僕の個人的な印象では、ワクチン開発が国をあげての事業になっていないように思う。各大学や研究機関で小規模(と言ったら語弊があるかな)の開発がなされているような感じがしている。
ちなみに、僕が大手の製薬会社の社長なら、コロナワクチンの開発なんかするなと命令するだろう。結局、政府は外国から取り寄せる方針を立てているのだ。莫大な開発費用をかけても大赤字になる見込みが高いからである。ワクチンを開発・製造しても買い手がつくかどうか不透明だ。
従って、政府はこれまた先手を打ち損ねているわけだ。外国からワクチンの買い付けをするのと同じくらい、日本製のワクチンの買い付けをしなければならないのではないだろうか。そうでないと開発する動機付けが低下してしまうように思うのである。
イギリスの予測では日本は2022年4月だ。その予測を裏切って、2021年の5月頃にできないものだろうか。今の政府を見ているとあまり期待はできそうにないな。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)