1月2日(月):「芸人ブローカー」
今、テレビを観ながらこれを書いている。日付が変わり、1月2日の0:30から「芸人ブローカー」の特番を観ながら書いている。この番組のことを、僕はクライアントから知った。
このクライアントは女性であるが、お笑い番組、それも深夜のお笑い番組をよく見るという人で、彼女からいろいろな番組のことを教えてもらった。「芸人ブローカー」は彼女のお勧め番組だったのだけれど、教えてもらったのが遅くて、僕は最終回しか見ていない。もっと早くから見ておけばよかったと思っている。それでインターネットで調べて、遅ればせながら見ているのである。
ブームとか流行というものは面白いもので、そのブームの中でも主流となる傾向なりスタイルなりが生まれる。しかし、しばらくすると、その傾向やスタイルに対してアンチテーゼみたいな人たちにスポットが当たったりするのである。主流に対して、異端的な人が現れ、脚光を浴びたりするのである。「芸人ブローカー」はそのような人たちの番組だったのかもしれない。
お笑いはブームだけど、ゴールデン枠のお笑いはどれも似てくる。それは製作者側が芸人に同じようなものを求めるという事情もあるだろうし、その時間帯の視聴者に合わせなければならないという事情もあるだろう。だから同じような番組になるし、芸人さんたちも同じような芸風になってしまう。僕はそのように考えている。
「芸人ブローカー」に出てくる芸人たちは、ゴールデン枠の観点からすると、決して面白いとは言えない。しかし、ゴールデン枠では決して見れないような個性的な人たちが次々に登場する。ともかく、一度見たら忘れられないような芸人さんたちが出てくる。そういうのは魅力というよりか、毒性のようなものかもしれない。一回彼らの芸を見れば、名前は覚えられなくても、その芸人さんの顔なり、決め台詞なり、ギャグなり、何かしら脳裏に焼き付くものがあるのだ。まあ、あくまでも僕の感想である。
少し前にも、何かの漫才番組でパンクブーブーが賞を取ったのを見た。そのネタは、その時は面白いと思って見ていたけれど、今ではそれがどんなネタだったか覚えていないし、彼らの顔もはっきり思い出せない始末である。「芸人ブローカー」芸人はその逆のパターンである。名前は覚えられずとも、何かが焼き付けられ、後々まで残るのである。
ちなみに、この番組を教えてくれた彼女であるが、「この番組見ているの、私だけちゃうかな」とか言うのだけど、決してそんなことはないと僕は思う。深夜番組なので見る人は限られてしまうだろうけれど、やはりファンがいるはずである。彼女は気づいていないかもしれないけれど、彼女が「芸人ブローカー」のことを話す時は、本当に活き活きしているのである。実際に番組を見て、それを体験すると、彼女の気持ちが分かるような思いが僕はするのである。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)