12月24日:「へぇ~」

12月24日(土)「へぇ~」

 

 今夜はクリスマスイブだそうだ。たいへん面白くない晩である。

 昔の、古代の人たちは、外が暗くなったら一日が終わりというように数えていて、そこで日付がかわっていたのだそうだ(へぇ~)。だから、現在の12月24日の晩は、すでに25日なのである。「イブ」なるものは存在しなかったのである(へぇ~)。日付変更線が制定されて、暦がきちんと標準化されるようになったので、かつての12月25日は、24日と25日の両方に跨ることになったのである。日付の基準が変わっても、かつての伝統はそのまま残ったらしく、12月24日の晩からクリスマスとして祝っているそうだ。

 クリスマスというのは、もともとは冬至の祝いだった。キリスト教とは本来何の関係もなかったのである。他宗教の祭りだったのである。冬至を経るということは、これから夜の時間が短くなり、昼の時間が長くなっていくということであり、それがイエスの復活のイメージと重なり、キリスト教がこれを取り入れたのだそうだ(へぇ~)。クリスマスをイエスの誕生日だと間違えている人もあるが、これは復活のイメージと誕生のイメージがごっちゃになっているのだろう。

 アメリカは国民の90パーセントがキリスト教に属しているそうだ(へぇ~)。この数字は、僕から見ると異常とも思えるのだ。しかも、移民した人たちはヨーロッパから出てきた人たちで、バリバリのプロテスタントだった。シェークスピアを観劇する人たちを「堕落した」と見做して、新天地を目指した人たちである。キリスト教圏の国で、最後までクリスマスに反対していたのはアメリカだったそうである(へぇ~)。

 僕が子供だった頃は、クリスマスって今ほど大々的にやっていたかなと思うのである。同年代の人から聞いてみたい気もする。学校なんかでも、ちょっとした行事みたいなことがあったような記憶もある。僕の中ではケーキを食べる日という記憶しかないのである。

 子供の頃、隣に住んでいた人で、僕の兄貴分みたいな存在の友人がいた。確か、好きなだけおやつが食べられると言うので、彼について行った。行った先は教会で、たくさんの人が集まっていた。お菓子をけっこう好きなだけ食べさせてくれた。後から考えると、あれはクリスマスだったような気がする。もう、曖昧にしか覚えていないのだけど。

 いつからクリスマスが、何か特別な日のようになってしまったのだろう。別に夜を独りで過ごすことは何の咎もないのであるが、クリスマスイブに独りで過ごすということにはサンクションのような感覚が伴うようである(僕はまったくそういうものを感じないのだけど)。もし、クリスマスがいつから日本人にとって特別な日となったのか、その時期と理由を教えてくれる人があれば、僕はその人に「10へぇ~」差し上げたい(「10へぇ~」とは、因みに、教えてくれた人の前で、僕が10回「へぇ~」と言うだけである)。

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー

 

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