12月18日(日):古本屋のおばちゃん
高槻には、僕のお気に入りの古本屋が一件ある。そこはネット販売をメインでされていて、店舗の方は土曜日だけ開けているという店である。僕は定期的にそこへ行って、目ぼしい本を購入する。店はおばちゃんが一人で番をしているのだが、僕のことを覚えてくれていて、最近では言葉を交わすようになった。何よりも、僕が買うと、必ず割り引いてくれるのが嬉しいのである。今日(17日)も2500円相当の本を購入したのだけれど、一冊分(700円)サービスしてくれて、1800円にしてくれた。こういうことをしてくれるのである。
さて、僕はフローベールの「ボヴァリー夫人」を読んでみたいと前々から思っていた。それであの古本屋に置いてないかなと思って、覗きにいったのである。嬉しいことに岩波文庫版でそれを見つけたのである。その他にカトリーヌ・アルレーのサスペンス小説(僕はこの人の小説が好きである)を発見。澁澤達彦の著作集に彼が翻訳した小説集があり、その中にやはり前々から読みたかった作品(J・K・ユイスマンス「さかしま」)を発見。その他、哲学に関する新書と、夢に関する本を購入。そして最後に一冊、タバコに関する本、それも禁煙に関する本を発見し、それがとても興味を惹いたのだけれど、買うかどうかでちょっと迷った。予算を2000円で組んでいたので、これを買うと予算オーバーしてしまうからである。次回にしてもよかったのだけど、ええい、買ってまえ!とばかりに、その本も含めて、おばちゃんの所へ持って行ったのである。
その本であるが、著者の禁煙体験が書かれている本で、その他に著名な人の禁煙談まで書かれていて、面白そうなのである。少し拾い読みしてみたが、随所に共感できる部分や、僕と考え方が似ていると感じた箇所を発見したのである。古書店でこういう本を発見することは、人ごみの中で親友にばったり出会ったような感じと喩えることができるように思う。僕にはそういう感じがするのである。
さて、予算オーバーを覚悟で、僕はおばちゃんの所へいったわけだが、僕の持って行った本を見て、おばちゃんは「あら、タバコをお吸いになるの?」と尋ねてきた。僕は「そうなんですよ」と答え「なかなか止められなくて」というようなことを言った。それから「タバコはよくないのよ」とかいうようなことで少し雑談を交わしたのだけれど、おばちゃんは、少し考えて、「そしたらこの(タバコに関する)本はサービスしといてあげる」と言ってくれたのである。そして、やはり「タバコは止めた方がいいわよ」と言ってくれたのである。
何となく、こういうことをしてもらうと、タバコを吸うことに罪悪感を覚えるようになった。禁煙に関する本をサービスしてくれたのに、それでもタバコを吸うとなると、なんだかおばちゃんに悪いことをしているような、そういう気分に陥るのである。それに、偶然にも、予算内にうまく収めてくれたおばちゃんへの感謝も示さないといけないなと思っている。
よし、明日から禁煙だ。いや、今から禁煙だ!(と言っても、今日は既に吸ってしまっているので、今日は数に入れないことにする)。また、このブログで禁煙の報告ができるようになることを願って、禁煙を誓うのである(どれだけもつことやら)。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)