10月4日(火):会社の辞め方(1)
今日(9月28日)、久しぶりにバイトの後輩が尋ねてきた。営業で彼は来たのだけど、彼は会社を辞めたいと言う。まあ、それはそれでいい。彼が選択することだからだ。
そう言えば、うちにきた営業マンで、初対面なのに「会社を辞めたい」と僕に訴えた人が何人かいた。飲み屋でもそういう相談を受けたことがある。皆さん、僕が何かいい案を持っているとでも思うのだろうか。
そこで、今回から、僕が推奨する会社の辞め方、僕から見て理想的な会社の辞め方というものを伝授しようと思う。ただ、ここで想定しているのは、自分から転職しようと考えている人で、年齢的にも若い人であります。
まず、辞めるということの前に、どれだけ続けるかということから話を始める。僕はとにかく一年間は続けてみるということを勧めている。一年というのは最低期間である。とにかく、その職場の全シーズンを体験しておくことが大切である。繁忙期もあれば閑散期もあるだろうから、その両面を見ておくことを勧める。
僕が見聞した例では、一年ももたない人もけっこう多い。それはその人の事情があるだろうから厳しいことも言えないのだけど、ともかく一年は続けたいものである。一年続かない人は、他所に行っても長続きしないものだと僕は思う。
一年は最低期間である。本当は三年ないし五年は続けた方が良い。もし五年間続いたとしたら、その間に見えてくる事柄や分かってくる事柄があるはずである。五年間続けて、何も見えてこないという人があるとすれば、その人はどこに行っても芽が出ないものだと僕は思っている。
もっとも、期間というのはあくまでも一つの目安であって、たとえ一年間でも、何気なく過ごしていた人と、一日一日の体験を自分のものにしていった人とでは、ものすごい差があるものである。
次に辞める動機であるが、生活がままならないとか、キツイとかいろいろあるだろうと思う。キツイから辞めたいと考えてしまうのは分からないでもないけれど、転職して、次に行くところも同じようにキツイかもしれない。日本全体がキツイのだから、どこともキツイものと考えておいた方がいいだろうと思う。動機として一番良くないのは、その仕事が嫌だからとか、嫌な人がいるから辞めるというものである。
若い人の中には、自分がすぐに思い通りの仕事ができると信じている人も見かける。しかし、これはどこの会社でもそうだと思うが、自分の思う通りの仕事ができるのは三十代になってからだと僕は思う。それまでは嫌な仕事や望んでない仕事でもしなくてはならないものである。作曲家のレス・バクスターがインタビューで、「好きな仕事だけ引き受けて、貧乏になりたくない」と語っているのを読んだことがある(アルバム”Hell’s Blles”解説より)が、それは真実だと思う。自分の好きなことだけしかしないと決めている人は、おそらく生活していけないだろう。
それで、会社を辞める際の望ましい動機は何かということであるが、僕の考えでは、他に何か目指したいことがあるためだという動機が望ましいものであると思う。これに関しては明日述べようと思う。ともかく、きつくとも一年間は続けること、その間にいろいろ学んでいるということが重要である。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)
(付記)
けっこう厳しいことを言っているのかなと、自分でも思ったりする。今でも考え方は変わらないけれど。それと思い出した。レス・バクスターのアルバムは、人に貸して返ってこなかった一枚だ。どうしても返して欲しかったのに。貸したことが悔やまれる。
(平成25年6月)