8月30日(月):ワクチン迷走国
僕はワクチン未接種だ。いつかは接種したいと思っているのだけれど、果たして僕まで順番が回ってくるのかどうか不安でもある。
東京都では、若い世代に限定されているけれど、予約なしで接種を受け付けるということを試みた。個人的にはそれでいいと思っている。ワクチンが足りていて、マンパワーも確保できるならその方がいい。予約を申し込んで、後日返事を受け取って、という手順をやっていると、却って人手がかかるし、手間もかかる。接種会場をいくつか設けておいて、飛び込みで接種できるなら、その方がいいだろうと僕は思っている。ワクチン接種のハードルを下げる方がいいということだ。
その試みは良いと思うのだけれど、東京都のそれはいささかズサンである。なんでも3000人近くの人が接種会場に並んだらしい。そして、そのうちの200から300人が接種を終えたということらしい。
もし、3000人が並んだのであれば、そのうち1000人くらいは接種できたということでないと批判が飛んでくるのは間違いない。3人か4人に一人は接種できたということであれば、まあ許せるということになるだろう。
1000人分程度のワクチンが確保できていたのか、また、それだけの人材も確保できていたのか、僕は疑問だ。最初から200人分から300人分の数しか用意していなかったのではないかと思う。
もし、最初から300人分程度のものしか確保していなかったとすれば、それは若者を見くびっているのだ。彼らは関心が低いからそれくらいの数で足りるだろうと見込んだということだ。これはとんでもない話である。若者も年寄りも関係ないのだ。どの世代でも、関心の低い人が一定割合存在しているように、関心の高い人も一定割合存在しているのだ。若い世代がコロナに無関心だと決め込むのは東京都の偏見である。
あるいは、もともとこれを成功させようという意図がなかったのかもしれない。そういうことをやりましたという実績だけ残せばよいという考えだったのかもしれない。ワクチン接種を推進することよりも、こういう対策をしたという実績の方が重要だったのかもしれない。だから内容がお粗末になるのだ。要するにパフォーマンスに過ぎないということである。
結局、初日は先着順だったのに、二日目からは抽選方式に変わったというのだが、これは予約制とほとんど変わらないのである。なんのメリットもなくなった感じがする。
ワクチンと言えば、モデルナ製のワクチンに異物混入が見つかったという。諸外国ではそういう話を聞いたことがないので、日本だけで起きているように僕は感じている。
異物がどうやって見つかったのかだ。接種前に看護師さんが目視する。そこで見つかったというのなら、その異物は肉眼で見えるほどのものであるということになる。製造過程でも見つかりそうなものではないか。
ワクチンの製造過程で異物が混入したとしよう。他の国でもそれが見つかったらその可能性が高くなる。今のところ、僕の知っている限りでは日本だけなので、日本が購入した分にたまたま混入していたということになるだろうか。でも、もう少し悪意の目で見れば、日本は不良品をつかまされたということもあり得る。不良品をつかまされるというのは、その場合、日本がかなり値切ったとかいう背景があるかもしれない。
一方、異物が日本で混入されたという可能性もある。ワクチンの「陰謀説」なんてのもあるらしく、そういうのを信じている人が故意に異物を混入させたとかいう話もあり得ることである。もっとも、僕がスリラー小説の読み過ぎなのかもしれないが。
あるいは、注射器の方に異物が入っていたのかもしれない。異物がどういう経緯で発見されたのか不明であるために、この可能性もあり得るわけだ。
いずれにしても、真相が解明されることを僕は願う。
ワクチン一つ取り上げても、日本はとかく迷走する。ガースー政権の迷走ぶりはもう常識のようになっているけれど、こうした迷走が至る所で見られるように僕は思う。ワクチンを巡ってはまだまだ迷走し続けることだろう。
いっそのこと大金をバーンと積み上げて、大量にワクチンを購入したらどうかとも僕は思うのだ。同じく、大金をバーンと積み上げて接種会場を至る所に開設したらどうかとも思うのだ。ところが、おそらくだけれど、今の日本にはそれだけの金がないのだ。五輪なんてものをやらかしたので尚更お金がないのだろう。貧すれば鈍すというけれど、日本の迷走は日本の貧困を表しているのかもしれない。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)