12年目コラム(39):opusシリーズについて
このコラムは、資格の問題から初めて、テーマをリレーしながら、最終的にクライアントがどうして良くなっていくのかというテーマに至った。
それは、対象の取り入れと同一視を経て、対象恒常性へと至る過程である。また、この対象恒常性における「対象」は、以後の生において変容していく可能性を秘めているので、「変容性対象の恒常性」という意味合いがある。
ここまでのことを綴ってきたところで、一段落つけようと思う。幕間としてOpusシリーズを入れようと思う。
僕のこのサイトは、すべて僕が書いているのであるが、これははっきり言って、しんどい作業である。何か書こうという意欲が湧いている時であれば、それほど苦にならないが、それでも、これが直接の利益にはならないことをどこかで意識しており、その意識が妨害的に働くのだ。
これは無料で読まれるものだ、書いてもお金になるわけではない。正直、書くのがしんどいことの方が多い。いつもその思いがあった。
そこで、いっそのこと、書いたものを売ろうと考えた。そういう時期があった。
サイトに掲載するのとは別に原稿を書いて、注文があれば印刷して、自分で綴じて製本し、それを販売しようと考えたのだ。
それで販売用の原稿を書かなければならなくなったのだけど、それはサイトの<テーマ>と区別するために、<Op(作品)1>というように表記した。最初に20くらいのテーマを決め、いくつかを同時進行で書き進めていく。20のうち、10~15<作品>完成させれば、それで一冊分になるだろうと考えていた。
ところが、ここで問題が発生した。一冊ずつ原稿をコピーして、手作業で製本して、注文主に発送する。そういうことをするとなれば、内容や分量の割に値段が跳ね上がってしまうということに気づいた。
仮に100ページ(50枚)の本にするとしよう。大量に製本すればコストを抑えられるけど、一冊ずつ作るとなると、100ページ分の原稿をコピーすることになる。これだけで1000円、もしくは500円経費がかかる。そこから手作業で製本する。一時間くらいはかかるとして、その手間賃として1000円くらい欲しい(欲張りすぎだろうか)となると、100ページの冊子に2000円の値段がつく。それとは別に送料とか、別の経費が多少とは言え重なってくる。これはさすがに高い。
そこで、購入してくれた人に、直筆でメッセージを添えようかとも考えた。一冊ごとに通し番号を書いて、自分が何冊目の本を買ったのかを分かるようにしてみようか、などと考えたりもした。付加価値や特殊性を打ち出そうということだ。そんなことをいろいろ考えた。
結局、どのアイデアもすべてボツとなった。
それだけでなく、<Op>シリーズは遅々として進行しなかった。どうしてもサイトの<テーマ>の方に時間を取られるのだ。
こうして、いつしか、冊子販売の案は立ち消えとなり、途中まで書いた<Op>シリーズはパソコンのファイルに未完のまま残されることとなったわけだ。
ただ、せっかく書いたものをボツにしてしまうのも勿体ないと思い、今回、この12年目コラムシリーズにて、未完のまま掲載しようと思う。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)